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鈍く光る刃物を右手に握りしめて静かに相手に近づく。
「マミっ！？」
振り返りかけた相手が騒がないうちに背後から一突き。
相手の体から力が抜けたのを確認してからナイフを遠ざける。
「…どうか許して、」
ドサリ、と相手が倒れた音と同時に私がそう呟いて。
「カットー！！チェック入ります！」
スタッフの声にふっと視界が明るくなる。
薄暗かった廊下に照明が灯り、スタッフがバタバタと忙しなく動き始めた。
「いやぁ、良かったんじゃない？」
ぼーっとその様子を眺めていた私に声をかけてくれたのはさっき私に刺された人で。
「血糊、垂れてますよ」
笑いながら指摘すると彼もまた笑って口元を拭う。
「んとに、年々磨きがかかるよなぁ…お前の演技」
「まだまだカズさんには劣りますけどね」
そうふざけて言い返すと先輩はくくっと楽しそうに笑う。
「当たり前だろ、バーカ」
「あ、また馬鹿にして」
「バカにバカって言って何が悪いんだよ？」
「二宮くん！篠田ちゃん！」
ふざけあってるところに監督から声がかかって。
ちゃんとカメラチェックしてくださいよ、なんて新人のような注意をされる。
「ほらぁ、Aがふざけてるから俺まで怒られちまったじゃん」
「はぁ？ふざけてたのはカズさんもでしょ」
彼のからかうような口調に噛み付くように返すと、ちょっとは先輩を敬えとか言われながら小突かれる。
「ちょっと止めてくださいよ、せっかくセットしてもらったのに髪が崩れちゃいます」
「はいはい。すみませんでしたー」
「…何ですかその腹立つ言い方は！！」
そばにいるスタッフさん達からは、またやってるなんて言われたりして。
端から見ればまるで兄妹のように仲の良い先輩と後輩。
その後輩が10年近くも先輩相手に片想いしてるなんて誰も思わない。
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紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» あとがきにも追記しましたが、この二人のその後を短編で書き始めました。ぜひ覗いてみてくださいね。 (2020年6月7日 16時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - ものすごく楽しみです！またこの2人に会えるのを楽しみに日々の生活頑張ります。こんな時期ですので御無理のないよう創作して下さいね。 (2020年6月6日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» 労いのお言葉ありがとうございます。この後の二人については少し考えていることがあるので楽しみに待っていてください！続きを書いた時にはまたこちらでお知らせしますね。 (2020年6月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - 完結お疲れ様でした。この後の2人も見たいですね。また、いつか続編読ませて頂ける日を楽しみたいしています。 (2020年5月31日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» コメントありがとうございます。楽しみと言って頂けて嬉しいです。更新頑張りますね！ (2020年5月26日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2016年12月14日 22時
