★add★ 紫色 ページ26
雨が降っている外を窓から覗くとママが来たのが見えた。
「ママ〜！」
幼稚園の玄関で叫びながら飛び付く。
「待たせてゴメンね。 寂しかった？」
「平気だよ！ 潤強いもん！」
本当はAが帰っちゃってから一人で待っていて寂しかった。
でもそれを言うとママがゴメンねって顔をするから言わない。
「潤くん良い子で待ってましたよ。
それから これは今日潤くんがもらったバレンタインのチョコレートです。」
先生が紙袋一杯のチョコレートをママに渡す。
「潤 こんなにもらったの？ モテモテね〜」
家に帰ってママとお姉ちゃんが二人でチョコレートの数を数える。
「これ…… もしかして幼稚園の女の子皆からもらってたりする？」
「うん！」
元気よく頷くとママはため息をついた。
「これはお返しするの大変だわ……」
「潤一人じゃ食べきれないから私ももらうね」
お姉ちゃんがいくつか食べようと手を伸ばす。
手を伸ばしたチョコレートの山の中に一つだけ紫色のラッピングがされた物があった。
「これダメ！ 潤の！」
「誰にもらったの？」
「A！ だから食べちゃダメ！」
そう言うとママはふふ と笑った。
「潤は本当にAちゃんが好きね」
「だってニコッてするとあったかいもん！」
よくわかんない ってお姉ちゃんは言うけど本当にAが笑うとあったかくなる。
きっとAは魔法使いなんだ。
「じゃあ 魔法使いさんには特別にお返ししなきゃね？」
「うん！」
明日はAと外で遊べるように晴れると良いな。
ホワイトデーに頑張ってクッキーを作ったのはまた別のお話。
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作者名：紫苑
| 作成日時：2014年8月5日 17時
