遥か彼方～第一歩～ [Jun] (ページ20)

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妹ページ20

「ちょっとお姉ちゃん聞いてる？」

「ああうん聞いてる。」

我ながら雑な相づちだとは思うが、私の最近のストレスの原因となっているこの電話を早く切りたい。

「東京に住んでいる友達から、良いお見合いの話が来たんだけど、お姉ちゃんお見合いする気無い？」

ほらやっぱり。

「何度も言うけど、結婚とか彼氏を作るとか、今は興味ないから。」

「…… まだ5年前の事を引き摺ってるの？」

5年前私は酷い失恋をした。
梓曰く失恋なんて言葉で片付けられるような軽さではないという事だが、決してそれを引き摺っている訳ではない。

ただ5年前の一件で、特別な存在の人を作りその人の為にドキドキしたり、嫉妬したりという事が面倒臭くなったのは確かだ。

「一度会ってみてそれから考えれば良いじゃん。
取り敢えず会ってみない？」

「会いたくないって言ってるでしょ？
もう切るからね。」

通話終了のボタンを押し、電話がかかってこないように電源を切る。

瑞希ちゃんに妹が結婚しろってうるさいと言うと、きっとAさんの事大切に思ってるんですよ～なんて言われる。

梓の事は嫌いではない。
たった一人しかいない身内なのだから。
あまり私生活に干渉して欲しくないだけだ。

やさぐれた気分を変えようと瑞希ちゃんから借りたDVDをセットする。