遥か彼方～第一歩～ [Jun] (ページ19)

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電話ページ19

予約図書を申し出ると、そんな事が出来るのかというような驚きが顔に表れていたが、ひっきーくんは少し考えて

コクッ

と勢いよく頷いた。
その勢いのまま腕に巻いている時計を見て、慌てたように図書館を出ていった。

ひっきーくんのカードで予約手続きをした後、少し早いけれど上がらせてもらうことにした。

「お先に失礼しまーす！」

「あ！ Aさん！
今夜一緒にご飯でもいかがですか？」

「あーゴメン
今日は用事があって……」

用なんて特に無いのに黒峰くんの誘いを断り家路を急ぐのは、ひっきーくんと同じ声の主を記憶の中から探してみようと思ったからだ。

私の性格的にこういう事は早いうちにハッキリさせておきたい。

そんな思いを抱えていたけれど、家に帰ると妹の梓から電話がかかってきた。

「もしもしお姉ちゃん？元気？」

「元気だよどうしたのこんな時間に？」

「こんな時間って……
夜じゃないとお姉ちゃん電話に出てくれないでしょ？」

それはそうだ。
両親が死んでから私達は祖父母に育てられた。私は大学に通うため上京したが、梓は北海道から出ずに去年23歳の時に結婚した。

それ以来なんだかんだ言って私を結婚させようとしている。
はっきり言って鬱陶しい。