遥か彼方～第一歩～ [Jun] (ページ15)

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踏み台ページ15

金曜である今日は午後番だけだ。
朝から降り続いている大雨のせいで一般客はおろか大学生までもが図書館を訪れないので、館内は閑散としている。

利用客がいないとカウンターに座っていても意味がないので、混んでいては出来ない本棚の整理をすることにした。

見回りをしていると、単行本の小説を配置している棚の一番上にここには無いはずの英字の小説が紛れ込んでいるのが見えた。

一番上か……

ちらっと見ると梯子は結構遠いところに置いてある。
ギリギリ届くかもしれないと思い、踏み台にだけ登り本に手を伸ばすと本には届いたものの……

「きゃあっ！」

バランスを崩しそのまま後ろへ倒れ込んでしまった。

床に叩きつけられる衝撃を覚悟していたが、いつまでたってもそんな衝撃は感じない。
むしろ柔らかいもので包まれている気がする。

恐る恐る固く閉じていた目を開けると、私を抱き留めている腕が見えた。

慌てて身を起こし、助けてくれた人の方を向いて礼を言う。

「あありがとうございました！」

頭を上げるとそこには見慣れたマスクとメガネ姿のひっきーくんがいた。