差し入れ ページ36
✴︎✴︎✴︎
「コーヒー淹れるから、そしたら上がるといいわよ、ユノくん」
おばさんの言葉に甘えて
俺はソファに座ってその様子を見ていた。
カウンターキッチンの向こう。
コーヒーをハンドドリップで淹れるおばさんの様子は
Aのそれと同じだ。
すっきりと伸びた背筋に
嬉しそうにゆっくりと円を描くように細いお湯がポットから注がれていく。
柔らかな湯気が立ちのぼり
なんとも温かい空気が流れるんだ。
「はい。お待たせ」
2人分のコーヒーと、俺の好きな苺のショートケーキ。そして、Aの好きなザッハトルテが並ぶトレイを手渡された。
「気をつけてね〜」
おばさんの声を背後に聞いて
俺は2階のAの部屋を目指す。
扉の前で深呼吸。
コンコン。
「…はい？」
中からAの返事が聞こえて
それだけで心がぎゅっと苦しくなる。
「俺。
ユノ。
差し入れあるんだけど入っていい？」
「…どうぞ」
返事を待って
部屋へと進んだ。
「どうしたの？こんな遅い時間に…」
ベッドの上に座っていたAが
サイドテーブルを準備してラグに座った。
「あ、うん。
ほら、珍しくここのケーキ、あったから買ってきてみたんだけど」
そう言って差し出したトレイを覗き込んだAの表情が和らいだ。
「えっ？！これ、あそこの？！」
「うん」
「わ！珍しい！ザッハトルテあったんだ！嬉しいかも〜！」
そう言って
いつものように笑う。
久しぶりのAのいつもの笑顔が心の底から嬉しくも
その左ほほの跡が
それだけに痛々しくてつらい…。
「どーぞ！」
「いただきまーす！」
嬉しそうにケーキを食べるAを見てホッとする。
あの日泣き疲れてしまったAが
ずっと泣いていないか心配だったから
頬はまだ腫れているけど
とりあえず涙は無いようで安心した。
美味しそうにケーキを食べ始めるA。
…ん？
何か違和感。
「……A…。
唇…どうした？怪我？あの時か？」
Aの唇の色が悪くて
しかもただれているようにも見えた。
ビクッと
身体が大きく跳ねるAに
俺の心臓も跳ねる。
何かあったんなら言って欲しい。
シムが守れない分
俺が守るから…
✴︎✴︎✴︎
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ゆうの(プロフ) - とらさん» はい！もうすぐです！卒業式のあと、ヒロインが謝恩会に来ないことを知った時のユノの行動がターニングポイントになります！あと一息だあ〜〜！ (2016年11月2日 18時) (
レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
とら(プロフ) - 卒業式もすぐだから、いい方向に向かっていきますように。マネには同情なんて絶対しないぞぉ！！ (2016年11月2日 15時) (レス) id: 967f0a93b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - かえるさん» かえるさん、お返事遅くなりました^_^; マネは裏で慌てまくってますよ！ (2016年11月2日 8時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - マネよ…慌てて苦しめばいい(*｀艸´) (2016年10月30日 20時) (レス) id: c3cb7c4659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました〜〜m(_ _)m シムは秘かに影で暗躍してます！！ (2016年10月30日 16時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうの
| 作成日時：2016年9月19日 1時
