壮行会 5 ページ8
✳
「明日何時の飛行機だっけ〜〜？」
3杯目のカクテルを飲み干した涼音の言葉に
酔いが見えてきた。
「私は昼だけど…その前に花凛の飛行機があるから朝には向かう予定だよ。ね？」
花凛を見ると
「…うん」
うな垂れた頭でこくんと頷く。
「こら！寝るなぁ〜花凛！」
涼音がそう言いながら手を伸ばしてコツン、と花凛の頭を弾いた。
「…うっ…」
その瞬間、ポタポタとテーブルに落ちる花凛の涙。
「ちょっ……とぉ！泣いてんのぉ？花凛！
やめてよぉ、そんなしみったれた……しみっ…
うう〜〜っ！」
涼音も突っ伏してしまった。
私は
隣の花凛の肩を抱く。
高杉くんは涼音の肩をトントンと叩いていた。
「…珍しいな、お前が真っ先に泣きそうなもんなのに」
高杉くんにそう言われて
自分でも不思議なくらい気持ちが凪いでいるのに気がついた。
「…うん。私も…そう思う。
でも……」
涼音の顔が上がって私を見る。
「私…大人になるって繋がりが増えていく事じゃないかな…って思うんだ。
世界が広がるから、人との出会いも増えて、繋がりが増えていく…。
子供の頃の世界って凄く狭いじゃない？
しかも、その世界しか存在しないかのように感じるくらいに」
隣の花凛の顔も上がった。
「…でも、少しずつ大人になって、色んな繋がり方があることがわかってきて、
色んな繋がり方で大丈夫だってことがわかってきて…
そして繋ぎ方もわかってきたと思うんだよね、少しずつ…」
「…繋ぎ方？」
花凛の言葉に
私はにっこり笑ってこくんと頷く。
「例えば…子供の頃、友達が転校すると、手紙や電話、LINEくらいでしか繋がれないけど
今の私達なら会おうと思えば割と簡単に会うことができる、でしょ？」
「…うん」
「それに、色んな経験から相手のことを考えられるようになってきたし…」
「相手のことを？」
今度は涼音が口を開いた。
「うん。例えば…そうだな。
高杉くん相手にはガンガン毒舌で迫る涼音だけど、優しい花凛相手には優しくなるじゃない？
私にはほどほどだし。
それは相手を考えてるから、だよね？」
「…俺への対応はもう少し考えて欲しいけどな」
高杉くんの一言に
赤い目のまま涼音が凄んだ。
「……こわ」
涼音の肩を抱きながらも肩をすくめる高杉くんに
やっぱり私は笑みがこぼれる。
✳
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 457人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえる(プロフ) - 手を繋いでの映画鑑賞ですか？ムフフフフ♪確かにラブストーリーは観れないですよね〜( 〃▽〃) (2018年6月20日 3時) (
レス) id: 26c1b93e97 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - かえるさん» ホラーに打ち勝とうとしてますよ、かえるさん。^_^;荒療治ってやつですかね！ (2018年6月19日 9時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - あれま…ホラーダメなのか…φ(．．)映画館で叫んだり目を背けたりする姿もまた愛しく思うから大丈夫♪大丈夫♪新たな一面発見！って嬉しいもんですよね〜 (2018年6月4日 22時) (レス) id: 26c1b93e97 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - かえるさん» どういうデートが正解なんでしょうね〜！とりあえず、どんな映画を見るんでしょう、2人は。(*^^*) (2018年6月3日 14時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - キャー( 〃▽〃)デートしてますよ♪ (2018年5月30日 4時) (レス) id: 26c1b93e97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2017年10月15日 20時
