決定打 ページ7
✴︎✴︎✴︎
「チャミくん！あれじゃ私の奢りにならないんだけど！」
チャミくんと二人、タクシーを待って交差点に立つ。
「俺の食欲わかったでしょ？
基本、誰かに奢ってもらおうとは思ってないのであれで十分です」
「でも…！」
「気持ちはちゃんといただきましたから」
そう言ってニッコリ笑う。
それは綺麗な、
優しい笑顔で。
少し心が弱っている私には
まぶしすぎる笑顔だった。
「……じゃあ、お言葉に甘えて…」
なんだかいたたまれなくてチャミくんから視線を外し、通りの向こうを見た時に
心臓が止まった。
交差点の向こう。
目を丸くしたユノがいて
その隣にマネージャーの彼女。
彼女はユノにしな垂れかかるような体勢で
ユノはそんな彼女の腰をしっかりと支えていた。
背の高い彼女とユノの顔はとても近くて
まるでキスでもするかのような距離感に
心臓を鷲掴みにされたようだった。
見たくないのに目が離せなくて
動きたいのに足が鉛になったように動かない。
「Aさん、タクシー来ましたよ」
チャミくんの声に覚醒する。
「…あっ…うん。
今…行く……あっ……！」
身体の力がうまく入らず、思わず足がもつれて倒れそうになった。
それをチャミくんが支えてくれて
そのまま私を抱きとめるようにしてタクシーへと誘う。
なんとかタクシーに乗り込み、呼吸を整える。
走り出す瞬間、
チラリと目の端にユノを確認すると
マネージャーとユノが抱き合う姿が見えた。
…胸が痛くて
……心臓が凍って
……音を立てて崩れていくような…
……足元から
……何もかもが崩れていくような感覚に陥った。
タクシーの車内。
隣に座ったチャミくんが
私の肩を抱き寄せてその大きな優しい手で頭をポンポンとたたくから
「………っ…うっ……」
涙が次から次へと溢れてきて
止まらなくなった。
わかっていたつもりだったけど
やっぱり目の前に突きつけられる現実はこんなに辛い。
恋人同士なんだから当たり前の行動であって…
何の不思議もないことなんだから…
そんなショックと
チャミくんの優しさに
涙がポロポロと溢れて止まらなかった。
✴︎✴︎✴︎
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 641人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえる(プロフ) - 次章へ行かなくちゃ！ (2016年9月10日 23時) (
レス) id: c3cb7c4659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - のこさん» のこさん、チャンミンと一緒に行くんですね？ (2016年9月10日 20時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ちのさん» コメントありがとうございます(*^^*) チャミくんは一番色々気づいているかもしれないですね。二人にとっては救世主です！ (2016年9月10日 19時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - ヴィクトリアに行ってオッパに癒されたいです！えぇ、何がなんでも、オッパと呼びますよ？ (2016年9月9日 17時) (レス) id: 9c0a90af40 (このIDを非表示/違反報告)
ちの(プロフ) - 相手の為に自分の気持ちを抑えて、なんぼつらくても耐えられるんですね…>_<…2人のように淡い恋してみたいな…ちゃみをつきあって、遠目？で自分をみつけらるかもしれませんね^(*^^*) (2016年9月9日 15時) (レス) id: 58256d473c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作成日時：2015年8月6日 11時
