帰り道 ページ25
✴︎✴︎✴︎
「じゃあーね！チャミナ！ちゃんとAちゃん、送り届けなさいよ〜！」
ママさんはその言葉を残してタクシーに乗り込んで行ってしまった。
手を振り、見送るチャミくんと私。
タクシーが交差点を曲がって姿が見えなくなったところで、私はくるりとチャミくんに向き合った。
「では、私もこれで」
頭を下げて挨拶をしようとしたら
「…少し歩きませんか？」
チャミくんから意外なお誘いが。
顔を上げると、そこには優しい笑顔のチャミくんがいた。
…ママさん。チャミくんの天使はまだ健在だよ。
心の中でそんな風に思った。
「少し…酔いを覚ましたいので…」
そういうチャミくんに付き合って
明け方の街を二人で少し歩くことにした。
2月の明け方の空気は
刺すような痛みを感じるくらいに冷え込んでいるのに
澄み切っていてどこか清々しさをも感じる。
薄く積もった雪を踏みしめながら進むと
キュッ、キュッと音がして
なんとなく、頬が緩んだ。
「…俺が振られたのは…
2年前の誕生日でした…」
ゆっくり隣を歩きながら
チャミくんが口を開いた。
「…父親の仕事の関係で知り合った年上の女性で…
綺麗な人でした」
チャミくんの口からそんな話が出るとは思わなくて。
私は
話そうとしてくれるチャミくんの気持ちが嬉しいのと
聞いてしまって良いのだろうかという気持ちとの間を揺れ動きながらも
ただ、隣を歩いていく。
「彼女は僕に…
自分自身の力で歩くための勇気と
キッカケを与えてくれた人で
2年前のあの日、腕時計を贈ってくれる約束をしてたんです」
そう言って淋しそうに笑った。
……あ、だからママさんに腕時計をもらった時のあの微妙な表情だったんだ……
「…だけど
……その日、彼女は俺の前から姿を消しました…」
「………え？」
思わず足が止まった。
私につられたチャミくんの歩みも止まる。
「……会社も辞めて
マンションも引き払って
なんの言葉もなく、いきなり」
眉を八の字にしたチャミくんは力なく笑い
私を見た。
「…け、喧嘩とかしたの？」
いたたまれず、
でも私の口から出たのはこんな普通の言葉で。
「…いいえ。
とても仲良くしてました。
時折淋しそうにしていたことはありましたけどね…」
チャミくんが懐かしむように天を仰いだ。
✴︎✴︎✴︎
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 641人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえる(プロフ) - 次章へ行かなくちゃ！ (2016年9月10日 23時) (
レス) id: c3cb7c4659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - のこさん» のこさん、チャンミンと一緒に行くんですね？ (2016年9月10日 20時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ちのさん» コメントありがとうございます(*^^*) チャミくんは一番色々気づいているかもしれないですね。二人にとっては救世主です！ (2016年9月10日 19時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - ヴィクトリアに行ってオッパに癒されたいです！えぇ、何がなんでも、オッパと呼びますよ？ (2016年9月9日 17時) (レス) id: 9c0a90af40 (このIDを非表示/違反報告)
ちの(プロフ) - 相手の為に自分の気持ちを抑えて、なんぼつらくても耐えられるんですね…>_<…2人のように淡い恋してみたいな…ちゃみをつきあって、遠目？で自分をみつけらるかもしれませんね^(*^^*) (2016年9月9日 15時) (レス) id: 58256d473c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作成日時：2015年8月6日 11時
