年下の男 26 (ページ31)

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待つ…CM ページ31

★★★

「いってーー！！」

思わずイヤホンを外して耳を抑える。

「な、なんだ、どうした？！チャンミン！」

僕の声に驚いた小林さんと、

そして二人で慌てて彼女を見るが

変わらず、ピクリともせずに眠っている事にホッとした。

「い、いえ、今、女性の怒鳴り声が…！」

イヤホンを指差してそう言うと

「……清香かぁ～～」

苦笑いの小林さん。

「そ、そんなもんでいいのか、って言ってましたけど…」

「これ以上やる必要はねーよ、清香！」

小林さんがカメラのある方を向いてそう言った。

『何生ぬるい事言ってんですか？！相手は詐欺ですよ？！傷ついた人間がいるんですよ？！
とことんやってもバチは当たらないでしょう！！
なんなら私がやりましょうか？！』

手元のイヤホンから十分聞こえる音量で

物騒な言葉が飛び出した。

……誰だ？

僕の疑問がわかったのか、

小林さんが
「Aの同僚。女の勘で狂言だ、って言ってた奴なんだ」と囁いた。

…へぇ。

小林さんもヒョンも良しとしていると言うことは

確実な味方だと言うことか。

「清香。
腹が立つのはよくわかるが、ここまでで十分だ。
必要最小限で相手を追い詰めたい。
これ以上は必要ない」

小林さんが僕の胸ポケットのペン型マイクを手に取り、静かに言った。

その言葉に返ってくる言葉はなく。

「…あとはいよいよ仕上げだな。
あと一息、頼んだぞチャンミン」

改めてそう言うと、小林さんは僕の肩を叩いて部屋を出て行った。

僕は彼女のバッグからスマホを取り出して待機した。

「…どれくらいで目がさめるかな」

呟くと

『かなり軽めの導入剤ですから、そんなに長くはないと思いますよ。30分もしたら起こせば起きると思います』

斉藤くんが返事をしてくれた。

「OK。わかった」

ベッド側のソファにどっかりと座って

彼女の様子を見る事にした。

やや間があって

『……チャンミナ』

イヤホンから大切な兄の声が聞こえてきた。

ずっと迷っているに違いない。

僕たちがしている事に。

ヒョンに心配をかけたくない。

だけどこれはどうしても我慢ならない。

こんな卑怯な話はあって良いわけがない。

心配をかけたくない以上に

ヒョンにはちゃんと幸せになってもらいたいんだ。

危ないことはしないから。

「………」

返す言葉が見つからなくて

僕はヒョンの言葉に無視を決め込んだ、

★★★