年下の男 26 (ページ26)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:128,530 hit

彼の話…YN ページ26

★★★

竹下さんがオーダーしたメニューを

ひたすら食べながら皆でディスプレイに集中する。

…真由美さんの彼氏って…どんな人なんですか？

チャンミンがそんなことを聞き出したから

「え？」

思わず手が止まった。

「…俺が聞くように頼んでたんだ」

肩肘をついて画面を見つめる小林さんがポツリと言った。

僕のことが話に上がるかと思っていたのに

彼女の口からは僕の知らないことが次々と語られていくことになった。

『学生の頃…父の仕事関係の集まりで初めて会って…
その頃からちょっといいな…って思ってたの』

『…え、あ……じゃあ凄く…付き合いが長い…ですよね？』

少し慌てたようなチャンミンの声。

チャンミンもきっと僕の事を話すものだと思っていたんだろう。

「……本当の父親の話だな」

小林さんが、尚も視線を外さないで呟いた。

「……あ」

「……俺たちの繋がりを知らないから…本音が出てるんだろ。
チャンミン相手に無理にユノを彼氏に仕立てなくていいからな」

…彼女の本音が聞ける…？

『…ううん。付き合いはここ最近の話よ？
ずっと憧れの人だったんだけど…やっと最近お付き合い出来るようになったの』

『…そう…なんだ…。どんな人…？』

チャンミンの言葉に

彼女はしばらく視線を泳がせた。

『そうね……

明るくって気が利いて…頭が良くて……
話しててとても楽しいの。

とってもモテる人で…

だから…私を選んでくれた時は本当に嬉しかったわ…』

そう言って笑う彼女は

少し寂しそうにも見えた。

『…真由美さんほどの人なら…好かれて困る男はいないでしょ』

チャンミンの言葉に

『ふふっ、どうかしらね。だったらこんな事にはなってないと思うんだけど…』

こんな事、とは

ドタキャンされた事なのか、

それとも

不倫の果てに身篭った事なのか…

『少なくとも、目の前には真由美さんと知り合えてラッキーな男がいますよ！

さ、そろそろデザートですよ！』

チャンミンが明るい声でそう言うと

程なく、ウェイターがデザートのプレートを運んできた。

★★★