年下の男 26 (ページ25)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:128,582 hit

昔話…CM ページ25

★★★

ドタキャンする相手を、彼女と2人で散々罵倒する。

単なる設定とは言え、話せば話すほどなんだか真実味が増してきて

本当にだんだん腹が立ってきた。

僕、演技の才能あるのかも…！

なんて調子にのって、勢いで更に口は滑らかになっていく。

「…でも、そのおかげで僕は真由美さんと一緒に美味しいイタリアンが食べれる事になったから…結果オーライ！これはラッキーでした！」

そう言ってニッコリ笑ってみせた。

「…あら。上手ね、チャンミンくん。
じゃあ、私もこんなステキな年下の男の子と食事ができることになってラッキーだと思うことにするわね」

そう言って笑い返す彼女も

満更ではなさそうだ。

不倫相手の子を身ごもっておきながら

それをヒョンの子だと偽って結婚しようとしているとんでもない女。

小林さんの作戦がうまくいくかは僕にかかってる。

心の中に韓国で待っている恋人の影がチラつくのを

ユノヒョンとヌナのためだから…！と、

大義名分で蓋をする。

…絶対に許さない。

決意を胸に隠して

できる限りの笑顔を作った。

食事も後半戦になったころ
イヤホン越しに斉藤くんの声がした。

『チャミさん、ユノさんたちが到着しました。
僕たちも軽く食事しますね』

ようやく来たか。

ヒョンが来たら

小林さんから聞いてみるように言われていた事があったんだ。

「…真由美さんの彼氏って…どんな人なんですか？」

「え？」

「今日も残業だなんて、仕事バリバリのイケてるサラリーマン？」

「…うん。そうね～…
仕事はできる人だと思うわ」

「一緒に働いてるわけじゃないんですか？」

「ああ、違う違う！職場は一緒じゃないから…」

…確かに、本社と月寒(つきさむ)事務所で勤務先は違う…と言っていたっけ。

「え～、じゃあ馴れ初めって？」

「…ああ……ええっとね……」

彼女は一瞬天を仰いで、

そして直ぐに視線を落とした。

「…初めて見たのは…学生の頃なの」

「………え？」

ヒョンの話が出ると思っていたから

彼女のこの言葉に

思わず手が止まってしまった。

★★★