年下の男 26 (ページ29)

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待機組…YN ページ29

★★★

「うまいなぁ、チャンミン！演技賞ものだ！」

彼女とチャンミンのやり取りをじっと見ていた小林さんが
そう言って思いっきりグラスの水を飲み込んだ。

「女性とこんな風に接してるチャミさんを見るのは初めてです、僕！
な、なんか照れますね」

斉藤くんは終始赤い顔で様子を見ていた。

「………」

竹下さんは何も言わずにひたすら食べまくっている。

視線はディスプレイからは外れない。

「…清香、お前なんか言う事ないの？」

「……べつに」

「お！清香さま！」

面白がる小林さんの声に

ギロリ、と竹下さんが鋭い視線を向けた。

「あ、清香さま、と言うのはだな。むかーし一世を風靡したある女優が、映画の試写会の時に司会に感想を聞かれた時に面白くなさそーーに〝べつに〟の一言だけで黙り込んでしまったと言う…」

竹下さんの視線を物ともせずに僕に向かって説明を続ける小林さんに

「…説明しなきゃいけないようなボケはやめてください」

ピシャリ、と竹下さんが言い放った。

その瞬間、

「動きます！」

斉藤くんの声が響いて、皆の意識がディスプレイに集中する。

チャンミンの胸ポケットの隠しカメラの映像。

画面の端の方で
彼女のグラスに例のものを入れる様子が確認できた。

「オーケーーイ！無事に入った！じゃあ、俺たちは移動するぞ！」

「はい！」

小林さんの言葉に、
残っている料理を素早く口に入れ、身支度を整えて個室を出る。

僕たちは斉藤くんに連れられて、チェックインした部屋へと向かった。

部屋の中には数台のパソコンとチューナーのような機械類。

斉藤くんがそのパソコンの前に座り、電源を入れると

同じだけれど反転しているホテルの部屋が映し出された。

「運良く隣が取れました」

斉藤くんが言う。

「すげーなー…」

さすがの小林さんも、
斉藤くんのセッティングに目を丸くした。

斉藤くんは僕たちの様子に構う余裕はなく

準備の仕上げに入っていく。

「バーへのお誘い、OK出ました！こちらに向かってきます！」

斉藤くんは僕たちに向かってそう言った後、

「既に待機済みです！いつでも大丈夫ですよ！」

チャンミンに向かってゴーサインを出した。

★★★