デート 21 ページ27
★★★
欲の出た私は、無謀にも自ら浮き輪を手離してみようと思った。
もともと、子供の頃に溺れかけた経験から海が怖くて仕方なかったんだけど
ユノくんが大丈夫と言ってくれるし
ユノくんがそばにいてくれるなら…
乗り越えられるような気がして。
それでもやっぱり、完全に離すのが怖くて少し怯んだけど
そこはユノくんにしっかり取り上げられて、しかも岸に投げられてしまったから退路は絶たれた。
…大丈夫。
そばにこんなに頼り甲斐のあるユノくんがいるんだから。
そう言い聞かせてまた、沖を見る。
波の高さによっては私の背を超える海水に、何度かのまれそうになりながらも、
必死にユノくんにしがみついて波に乗る。
あまりの必死さに、腕をがっちりつかんでいることにも気づかなかった。
ただただ、楽しくて
幸せで…。
怖さよりも、楽しさが優っていたその時だった。
「うわっ……！！」
ユノくんが波と砂に足を取られたのか滑ってしまって、
しがみついてる私ごと海に沈んだ。
本当にしっかりつかんでいたから、引きずられるようにかなり下へと沈んでしまって
一瞬でパニックになった。
その勢いでユノくんをつかんでいた手が離れてしまい、益々訳がわからなくなってしまう。
過去の記憶が蘇って
天と地がわからなくなった。
一瞬、息は止めるものの、慌てふためくと判断力は低下していくらか飲み込んでしまう。
もがき苦しんでいる私の腕をしっかりと掴む温もりが
力強く引っ張り上げてくれて
「…だっ…大丈夫？！Aさん！！」
「…！ゴホっ…」
海上に顔が出た途端、海水が入った事で鼻の痛みを感じた。
掴まれた腕を伝うようにユノくんの腕を確かめて
思わず
咳き込みながらもユノくんにしがみつく。
恐怖に身体が震えた。
「ごめん…！Aさん本当にごめん！」
絶え間なくやって来る波から私を守るように立ち塞がって
そして、胸元にしがみつく私の身体を強く抱きしめ返してくれる。
耳元に届くユノくんのものすごく早い鼓動が
自分と同じで安心するのと同時に
心配をかけてしまった申し訳なさを感じていた。
ユノくんはそのまま私を岸まで連れて行ってくれて
急いでパラソルまで駆け出して、私のタオルを持って戻ってくると
くるりと私をタオルで包んで、そしてまた、しっかりと抱きしめてくれた。
★★★
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haru(プロフ) - ゆうのさま、ささくれた心が癒されます(ノ_＜。)。いつも素敵なお話を読ませて頂きありがとうございます。 (2018年1月25日 23時) (
レス) id: 4f4c2e64e3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - haruさん» ご丁寧なコメントありがとうございます(*^^*) お話が何かのお役に立っているとすれば、こんな嬉しい事はありません。これからもよろしくお願いします(*^^*) (2018年1月25日 23時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - ゆうのさま、ささくれた心が癒されます。(ノ_＜。)いつも素敵なお話を読ませて頂きありがとうございます (2018年1月25日 23時) (レス) id: 4f4c2e64e3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - yknowchanminさん» もう少しだけデートモードは続きます！！嵐の前の静けさ、大きな山の前の平原のような今、幸せな時間を過ごしてもらいましょう〜！ (2018年1月18日 20時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - かえるさん» ユノくんにリードされたらホイホイついていくしかないですよね！^_^; (2018年1月18日 20時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2017年11月1日 23時
