歩み出す…YN ページ36
☆☆☆
切なそうにモニターを見上げていたAさんが
ゆっくりと俺に視線を移す。
俺の左手は真っ直ぐにAさんへ向かう。
…遠目で見ても綺麗だな…
揺れているように見えたAさんの瞳は
俺を見た時にはもう凪いでいて
その瞳の奥には
力強さすら感じた。
Aさんが本当に真っ直ぐに向かってくる事がわかる。
俺がソロを歌う間に
ゆっくりと。
しっかりと。
足元を見ながら
長いヴェールとドレスの裾を優雅に引いて
俺の前へとやってきた。
ゆっくりと上がる顔が
やっぱり俺を真っ直ぐに見るから
俺は本当に嬉しくて
つい、頬が緩んだ。
Aさんがゆっくりと差し出す右手を
俺はしっかりと握る。
歌い終わった時
どうしても伝えたくて
マイクの位置を直すようなフリでマイク部分を隠し
「…Aさん…凄く綺麗です…」
こっそりと伝えた。
姿形もそうだけど
何より真っ直ぐな瞳が
凛としていて
清らかな美しさを感じて。
「…ありがとう…」
マイクの付いていないAさんは
そのまま言葉にしてくれた。
さあ。
次はチャンミンだ。
俺はゆっくりとAさんの手を支えながら
サブステへ向かう通路にそれぞれ待ち構える弟たちの元へとゆっくりと進む。
Aさんを気遣って歩くから視線が落ちて
歩みを進めると
サイドにいるお客さんが嬉しそうに俺たちを見上げているのが見えた。
…ああ。
いつかこんな風に
皆に祝福されるような結婚がしたいな…
そんな事がちらりと脳裏をかすめた。
歩いている間に聞こえてくるチャンミンのソロ。
チャンミンは照れ臭そうにAさんを見る。
Aさんも
ヴェール越しにチャンミンを見上げた。
チャンミンは
ゆっくりと手に持つ一輪の花を
Aさんの持つブーケに付け加える。
『…ヌナ…綺麗…』
歌い終えたチャンミンが思わず口から出た言葉は
そのままマイクが拾ってしまった。
囁くようなそのトーンは
バンドの奏でる音楽と相まってどこまで聞こえたかはわからない。
「ありがとう」
やっぱりAさんはそう言って笑った。
☆☆☆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まい - ゆうのさん» はい！衣装のマネキンの前では何故かドキドキしちゃいました(≧▽≦)男性や観光客の方も写真を撮ってましたよ♪東京駅の地下道をずっと歩いたのでいい運動にもなりました(笑) (2018年8月23日 21時) (
レス) id: 6834f27010 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - まいさん» ドラマのスペシャルも決まっていて、その先の映画化まで視野にあるので、2年先までは仕事があるんですよね〜。ギャラリー！良いですね〜〜！！近くにいたら行ってみたかった〜〜！！2人はカッコよかったですか？？(*´ー｀*) (2018年8月21日 20時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - 千衣さん» あの部分は、廉のラブレターに悩みましたね〜。なんて書いたらヒロインが迷いなく進んでいけるようになるか、を考えて考えて…。結果、まあまあ納得のいくものになったと思ってます。(*^^*) (2018年8月21日 20時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
まい - 2年先まで仕事があるなんてすごい…｡周りの方に迷惑を掛けちゃうんじゃないかと、考えてしまいますね(>_<)話は変わりますが、今日は東京駅の地下ギャラリーに行ってきました☆ (2018年8月21日 20時) (レス) id: 6834f27010 (このIDを非表示/違反報告)
千衣(プロフ) - やっぱり廉が帰って来たのは何度でも号泣しちゃいました〜ジュリちゃんとの事も気になってきました。 (2018年8月7日 3時) (携帯から) (レス) id: 4037bbf8fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2018年4月15日 9時
