台本 ページ33
☆☆☆
それからの弟たちは全国を飛び回り
私の故郷、札幌でもライブをして
美味しいカニを食べた、と写メを送ってくれた。
オーラス一つ前の福岡公演の前に、私の出演する部分の練習が行われることになっていて
当日のリハーサル以外ではその時の二日間だけが練習に与えられた時間なのだそうだ。
「A、これが台本」
控え室で、辻さんから渡されたいつもよりだいぶ薄い台本。
タイトルには曲名の『Prayer』
前奏が流れる暗転した舞台で
まず、私が演技を始める。
その間に着替えを済ませた弟たちと、MVの時のように順番に舞台上に設定した部屋の様子を使いながら日常会話を繰り広げる。
パントマイムを使いながら弟たちは歌を歌って
間奏部分では全員でわちゃわちゃやって、
サビに向かいながらまた、順番にはけていって
皆はスーツに着替え、
私は
ウェディングドレスへと早着替えをして
最後は皆に見送られて終わる。
映像は浮かぶ。
この通りに出来たら素敵だと思う。
でも、舞台は未体験の私にちゃんと出来るだろうか…
興味でワクワクする反面
私の出来次第で弟たちに影響があると思うとやっぱり心配が先に立つ。
だって…オーラスだよ…？？
皆の気合いがハンパじゃないだろうし…。
台本に目を落としたまま動かなくなった私に
「…いつもと同じで良いんだよ」
ずっと隣にいてくれた穏やかな辻さんの声。
思わず見上げた私に
「音声はマイクで拾うわけだし、K氏曰く、映画を立体的なスクリーンで見ているような感じでいいらしいから、特に舞台向けにしなくて良いらしい」
そう言って少し笑った。
「…なんとなくわかる気がするんですけど〜
舞台向けも何も、わからないからなんともいえません〜〜」
私は情けない声しか出ない。
「舞台上でお前さんは弟たちだけ見てれば良いってことだよ。それなら出来るだろ？
いつものドラマと同じ。相手役を見て演技すれば良いだけ！
弟たちもあれだけ喜んでたんだから頑張れよ！ねーちゃん！」
そう言って私の背中に檄を飛ばした。
「いっ……たぁーー！！！」
結構な背中の痛みに、軽く半泣きの私。
「考えても仕方ないことは今から考えるな！
お前は万全の準備をして待ってろ！先ずは台本をしっかりたたき込むこと！時間はないからな！」
そう言って、辻さんは控え室から出て行った。
☆☆☆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 279人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうの(プロフ) - motomatoさん» 描いてて癒されてます(*^^*) まだまだのどかなメンバーですけど、少しずつ進んでいくんですよねぇ… (2018年3月18日 19時) (
レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
motomato(プロフ) - ヒロインちゃんが真ん中で楽しい雰囲気ですねぇ〜いつのまにか私も笑ってしまっています！ (2018年3月17日 16時) (レス) id: e15e9863b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ゆきさん» コメントに吹きました。頑張ります！ (2018年3月12日 16時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - motomatoさん» ご期待いただきありがとうございます！少しずつ練ってみますね！ (2018年3月12日 16時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - アスカさん» 楽しみに応えられるものが出来上がると良いんですけど〜〜^_^; ご希望ありがとうございます！ (2018年3月12日 16時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2018年1月26日 9時
