廉… ページ8
☆☆☆
ユノに後押しされて棺へと進む。
足元から少しずつ視線を移していく。
色とりどりの綺麗な花がたくさん敷き詰められていて
まるで春のお花畑のようで
ゆっくり進むと
その先に
懐かしい人の顔があった。
「……廉……」
思わず声をかける。
「……廉……？」
まるで眠っているかのような穏やかな表情で
「………廉………
…………………おかえり………」
ようやく
言えた。
「…廉
待ってたよ…？」
ようやく
会えた……
震える指先で
廉の頬に触れる。
ひんやりとした体温の無さが
廉が寝ている訳ではないということを
否応無しに知らしめる…
「……ずるいな、廉。
5年前と全然変わらない…
私なんてしっかり5年、歳をとったのに……」
廉のおでこを
瞼を
眉を
鼻を
唇を
懐かしいその全てを
記憶に留めておきたくて
五感で覚えておきたくて
ゆっくりと
触れていく
胸元で組まれた手を
覆うように手をのせる。
ひんやりとしたその手
「……寒かったね
…最後に見た空は晴れていた…？
あの日の空はね
私も見てたよ…？
廉もこの空を見てるかなぁって
ふふっ
同じこと考えていたんだね、私たち
廉の最初で最後のラブレター
もらったよ…？
まだ暫くは…
思い出しては泣くかもしれないけど…
でも…
廉の分もしっかり生きるからね
廉の分もいろんなことを経験して
ちゃんと…
………恋もして…
結婚して……
子供を産んで…育てて……
今度廉と会うときは
しわくちゃなおばあちゃんになってて…
気付いてもらえないかも知れないね…
廉……
本当は私も悔しいよ……？
私を幸せにしてくれるのは廉だったはずなのに…
でも
廉は私の幸せを
祈ってくれるんだよね
だったら
私は世界一の幸せ者にならなくちゃ…！
頑張るから…
見ててね？」
涙が次から次へとこぼれてきて
そこまで言うのが精一杯だった。
廉は
物言わぬまま安らかな表情で…。
私は
後ろを振り返りユノを見た。
「…伝わった…かな？ユノ」
☆☆☆
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ゆうの(プロフ) - ゆうさん» ドキッ…ゆうさん鋭い…。辻さんは、ほんとーーにヒロインを大切に思っているんですよ。彼女はヒロインのためだけにしっかり動いてくれます。安心してください〜(*^^*) (2016年5月31日 20時) (
レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 辻さん、何だかナゾ？ありそうな... 無事に戻ってきてくれて良かった〜 (2016年5月31日 20時) (レス) id: 6d5d1cf67a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます(*^^*) 全く予定してなかったんですけど、流れで歌ってくれました。作者も大好きな曲なので…歌われたら是非その胸を借りて泣かせていただきたい！と切に思います！^_^; (2016年5月20日 16時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ユノは見た目も中身も男前だね〜 耳元でBegin歌われたら泣くな...(T ^ T) (2016年5月18日 20時) (レス) id: 6d5d1cf67a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ゆのばにさん» 自分自身が色々経験することで、色々なことに優しくなれる気がします。あとは、そこに相手を思いやる気持ちがあれば無敵かと。(*^^*) (2016年5月14日 0時) (レス) id: e61f1c7906 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうの
| 作成日時：2016年2月27日 15時
