年下の恋人 8 (ページ9)

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バレンタインイブイブ22…YN ページ9

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社屋を出ると雪が降り始めて来ていたから、僕は嬉しくて寮にダッシュして傘を持ってきた。

Aさんと相合傘がしたくて。

実際差してみると、やっぱり身長差のせいで実践的ではないことがわかる。

僕に合わせるとAさんはほぼ雪を浴びるし、

Aさんに合わせると僕がかなり屈まなくてはならない。

密着度は申し分ないけど、実際そのまま歩くのはかなり腰に負担がかかる。

…それでも、

少々辛くてもしたい相合傘だけど

でも、Aさんにも気を使わせるかも、と思って他の案を考えた。

導き出したアイディアは

自分のコートの中にAさんを包み込んでしまう作戦！

右脇にAさんを頭からがっちり抱え込んで、傘は僕がさせれば、これも立派な相合傘！

歩きにくくないかと心配するAさんに

「いいの！大丈夫なの！」

僕がしたいんだから！

思いを込めてギュっと抱きしめた。

歩き出して少ししてから、Aさんが何やらゴソゴソ動き始めて

僕はなんとなく脇腹あたりがこそばゆくて変な声が出そうになっていたら

僕の腰回りに温もりを感じた。

…え？

「…こ、この方が少しは歩きやすいかな…と思って…」

胸元でくぐもるAさんの声が聞こえる。

Aさんが、僕の腰に左腕を伸ばしていて。

思いがけない行動に

嬉しさがこみ上げた。

「そうですね。歩きやすいですね！」

「に、二人三脚の感じだよね！」

「二人三脚って…Aさん……」

色っぽさが思いっきり何処かへ飛んでしまった。

「あ、や、ごめん！ふざけたわけではないんだけど…！」

照れ隠しなのはわかってる。

「…二人三脚では決してないことを教えてあげます…」

僕は、そう言ってAさんへ身体を傾け…

「…え？」

僕の言葉に軽く顔を上げたAさんの顎を捉えてくい、と上げて

そしてゆっくり近づいて、キスをした。

その瞬間、Aさんの唇に雪がのったから

少しだけ、冷たいキス。

力の入っていたAさんの唇から力が抜けるのがわかった。

また、こんな道の真ん中で！と怒られるかと思ったけど

怒られないのをいい事に、角度を変え、何度も口づけて、ついにその唇をこじ開けようとしたら

「…んん…！ユ、ユノくんっ！！」

さすがにAさんが反撃し出したから、唇を離す。

「もうっ！こんな所でやりすぎっ！！」

真っ赤な顔で僕から逃げるから、

「ごめんなさい！もうしませんから～～…多分」

追いかけて、またコートで包んだ。

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