年下の恋人 8 (ページ8)

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バレンタインイブイブ21 ページ8

★★★

残業して帰る際に挨拶をするうち、いただき物のお菓子を貰ったりするようになって、

残業時間に見回りで来た時にも少しお話ししたりするようになって、

最近では帰り際に飴やチョコをもらったりするようになった。

外に出る少し前にチョコを一口でも口に入れると、身体が早めに温まる上に、それを通常より維持することがてきるらしいそうだ。

普段のお返しに、と、バレンタインチョコを渡すのは毎年のことで。

だから今年も普通に用意した。

まさかそれをユノくんにヤキモチやかれることになるなんて…。

半分冗談だろうけど、

……半分は本気かも……なんて、最近はちょっとだけ思う。

自惚れかなぁ、なんて思ってたけど

ユノくんが本当に私に気持ちを向けてくれていることをとても感じるから。

「あ、雪…！」

さっきまでは降ってなかった雪が降り始めていた。

細かい雪だからさして積もらないだろう、と歩き始めた時

「ちょっと待ってて！」

ユノくんがそう言い放って、ダッシュで寮へと向かった。

戻って来た時、その手に握られていたのは傘。

「待ってくださいね～～」

嬉しそうにそう言いながら傘を広げ、そして私に差しかけてくれた。

…あ、相合傘…！

傘を差すほどの雪ではないけど

ニッコリ微笑むユノくんの様子が可愛くて、

「…ありがとう」

その気持ちが嬉しくて傘に収まった。

だけど身長差が20センチ以上ある私たちの相合傘は結構大変で。

ユノくんが一生懸命私に差しかけてくれるから、ユノくんが少しずつ前屈みになってくる。

「つらくない？私なら大丈夫だよ？」

そう声をかけると、

「…うーーん………。それじゃあ…」

ユノくんは何かを少し考えて、そして自分のコートのボタンを外し、そのコートの中に私を包み込んだ。

コートを使ってがっしりと抱き込まれた形になる私。

背の高いユノくんのコートは、私を頭からすっぽり隠してしまっている。

「これでよし！」

傘は一応ユノくんの頭上にあった。

ものすごい密着度で恥ずかしいんだけど

でもとても温かくて……幸せだな、と思う。

「歩きにくくない？」

コンパスの差もあるから、ユノくんにとってはかなり歩きにくいと思われる。

「いいの！大丈夫なの！」

そう言って、なお一層ギュッと抱きしめてくれた。

本当に

どうしてユノくんはこんなに温かいんだろう。

★★★