年下の恋人 8 (ページ6)

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バレンタインイブイブ19 ページ6

★★★

休憩時間を終えてユノくんと2人、部のフロアを目指す。

「Aさん、今日どれくらいの予定？」

「んー…。佐藤さんのデータ待ってるから10時は過ぎるかなぁ」

「あ、じゃあ僕の方が早いかも。寮に戻ってますから帰る時呼んでくださいね」

「うん、わかった。帰り支度始める頃に電話する」

「じゃあ、残業時間も頑張りましょう！」

「はい！頑張りましょう！」

そう言ってオペレーターブースの入り口でユノくんと別れた。

別れ際、また、そっと手を取りぎゅっ…と握られる。

恥ずかしいけど、嬉しい気持ちを胸に、自席へと向かった。

ここからは又、仕事に集中だ！

仕事が終わったら綾音さんにも連絡したいし！

気合いを入れ直して、データとにらめっこを始める。

皆がそれぞれ集中しているから、静かな中でパソコンのキーボードを叩く音だけが響き渡る。

この感じが好きだ。

夜は周りも静かだから

ことさらに音が響く。

自分だけの音ではないことが

どこか温かくて、また、集中できる。

「お先に失礼しまーす」
「お疲れ様でーす」

1人、また1人と帰宅して

そのうちユノくんも

「Aさん、お先に失礼します！」

と一声かけてフロアを後にして行った。

その少し前には

「お疲れ様～～！！」

地に足がつかなくて、3センチくらい浮き足立って帰って行ったコバさん。

今日は祝杯かな？

あ、でも綾音さんは飲めないか。

だったらコバさんも飲むのは控えるだろうな。

そんな事を考えていたら

私の頬も緩んでいた。

★

「おー！ご苦労さん！」

待っていた佐藤さんのデータを入力して結果を出し、数量調書を手渡して今日の私の仕事は終了。

壁掛けの時計を見ると、10時を10分回ったところ。

「お疲れ様でーす」

挨拶を済ませ、デスクの片付けの前に、ユノくんにLINEを入れた。

以前は遠慮していた帰りの送りも

ユノくんが本当に心配してくれているのと、

少しでも一緒に居たいから送りたい、と言うユノくんの気持ちが嬉しくて

最近は声をかけられれば、遠慮なく送ってもらうようにしていた。

たわいも無い話をしながら歩く15分は

氷点下の空気に負けない温かさがある。

残業の疲れも吹っ飛ぶし、そこからの帰路のパワーにもなるから…。

今日も、身支度を整えて裏口に向かえば、もう、ユノくんはそこに居てくれるはず、だ。

コバさんほどでは無いけど、私も浮かれてフロアを後にした。

★★★