年下の恋人 8 (ページ24)

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バレンタイン9 ページ24

★★★

いつものように、帰りのバスでは手を繋ぎながら2人でがっつり寝てしまう。

疲労困ぱいで、とてもじゃないけど起きていられない。

ユノくんとも、

「バスの中くらい、ゆっくりしましょう」

と言うことで、暗黙の了解で睡眠タイムになっている。

おかげで札幌に着く頃は頭も身体もスッキリで。

車を停めてある駐車場へと向かい、ウェアを脱いで車に乗り込む。

「さて、今日は何を食べて帰りましょうかね～」

助手席のユノくんが身体を揺らしながら言う。なんとなくご機嫌そう。

「あ、今日、行きたいところがあるんだけど…いい？」

いつもは大体ユノくんの希望で食べたいものを食べに行く。

でも今日は特別な日だから、少しだけ準備してみたんだ。

「もちろん良いですよ？Aさんの希望なんて、珍しいですね！」

ユノくんにそう言ってもらって、車を発進させる。

向かったのは

ユノくんとも何度か来たことのあるカフェ。

私は結構女友達とかともお茶しに来ていて、店員さんと世間話ができるくらいになっていて。

バレンタインデーには特別な仕様でオススメですよ、とお誘いを受けたから、今回は利用させてもらうことにして、早々に予約でお願いしておいた。

「いらっしゃいませ！山本様、こちらへどうぞ」

店内に入るなり、顔馴染みの店員さんに促され、窓に向いたカップルシートへと進む。

「あれ？この店ってこんな感じだった？」

勧められたソファのカップルシートに座りながら、ユノくんがキョロキョロと周りを見渡す。

バレンタイン仕様ということでカップルシートが多くを占め、
店内照明も少し落とし気味で、いつもより多い観葉植物がパーテーション代わりとなっている。

「バレンタインの特別仕様なんだって」

私もいつも通りユノくんの右側に座る。

「バレンタイン！わぁ！やっぱり忘れられてなかったんですね！」

ユノくんが嬉しそうに私を見た。

「えっ…。

忘れてると思ってたの？」

金曜日も、昨日の土曜出勤の日も

「あー、僕チョコ好きだなぁ～」とか、
「いちごとチョコの組み合わせは最高だよなぁ」

とか散々呟いていたのに？！

「えっ…あ…いやあの………

…その……帰りのバスに乗るまで僕は忘れてたから……」

ユノくんが申し訳無さそうに言った。

「…へ？」

「…ボードが楽しみで……滑ってたらやっぱり楽しくて……で、バスで寝る寸前に思い出したくらいで……」

小さくなるユノくんに

思わず笑った。

★★★