帰り道 ページ13
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塾の帰りにホタル池に向かう。
いつものようにAの歌が聞こえていた。
包み込むような温かな声。
俺が近づいた足音に気づいたAは
満面の笑みで振り返る。
「遅かったねー！チャンミン！お疲れ様ー」
「…お疲れー。って、お前もあんまり遅くなるなよ」
「えー？チャンミン来てくれるの待ってたんだよー」
「…あ、そ」
珍しく殊勝な事を言うと思ったら
「だってさ、ほら。ギター持って帰ってもらわなきゃ！」
「それかよ！」
Aらしくて笑った。
「うそうそ！逢いたくて待ってたのはほんとだよ〜！
チャンミンの勉強の邪魔はしたくないからさ。
学校の帰りと、ここでくらいなら話して怒られないかなぁ、と思って！」
「誰に怒られんの？」
「神様！」
「なんだそれ！」
思わず笑う。
それからAは身支度を整えて、帰宅の準備に入った。
茂みを抜けて、2人それぞれにチャリを押し、話をしながら進む。
「チャンミン、夏休みは？」
「夏期講習だなー。全日程の勢いで入れたから」
「まじ？すごいね」
「そう言うお前は？」
「私は図書委員の当番が何回かあって〜……
あと夏期講習と言う名の補習があって〜……
そして、アルバイトする…！」
「アルバイト？！」
「うん！お金貯めるんだ！」
「…貯めてどうすんの？」
「学費を稼ぐの！」
「…学費？」
「高校卒業したら私、ここを出て、音楽の専門学校に進みたいの！
ちゃんと基礎を勉強して！歌手を目指す！
父さんにどんなに反対されても絶対行く！
そうしたら、授業料も生活費もあてにできないから、自分で稼ぐの！」
そう言って拳を高らかに突き上げるA。
並々ならぬAの決意が感じられた。
「……考えてたんだな…」
「もちろん！！だって本当に歌いたいんだもん！」
「でも…だったらさ」
「うん？」
「やっぱりちゃんと親父さん説得しなきゃ」
「………」
「いつまでも分身の術は使えないだろ。
大体…お前の歌、聞いてもらった事あるの？」
Aは黙って首を振る。
「一度、ちゃんと聞いてもらえよ。
聞いて貰えば、Aの本気が伝わるんじゃない？」
「……………」
「おじさんは…そこまで分からず屋じゃないと思うけど…」
「……………r
Aはそのあと、少し不機嫌になって帰っていった。
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ゆうの(プロフ) - まゆまゆさん» チャミソロを記念してのアップだったのに、結末がこんなんで申し訳ないなぁと思いつつ…。受け入れていただけているだけでもありがたい限りですm(_ _)m (2020年4月5日 16時) (
レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - きっとチャンミンも聴いてくれてるよね。うんうんって頷きながらニコッて笑ってくれてると思います。ステキなお話ありがとうございました。 (2020年4月5日 9時) (レス) id: ddaab80a3d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ともさん» 読んで下さり、ありがとうございます(*^^*) アンハッピーエンドで申し訳ないんですが、描きたいものは描けたかな、と思っています！ (2020年4月4日 20時) (レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - ゆうのさん！ありがとうございます。わぁー。チャンミンにも届いてるー。泣 素敵なお話をありがとうございます。 (2020年4月4日 10時) (レス) id: 8360f041ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - wakaさん» 歌わせてみたくなりました！(*^^*) (2020年4月4日 9時) (レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2020年3月22日 18時
