さ ページ6
車内の空気は重苦しいまま走り出した。
不貞腐れて反対の景色を見ている坂田に、センラが声をかけた。
セ「さかたん、そんな露骨に不機嫌にならんとAちゃんが困っとったで？」
さ「なんで急に冷たくなったんだろ」
セ「………自分が迷惑になると思ったんやろ」
バッと坂田が体を起こして反論した。
さ「センラさんはAちゃんが迷惑だと思ってるわけ？」
セ「そんなこと思っとらん！Aちゃんが迷惑かけまいとしたのは、俺ら個人やない。
“浦島坂田船”のあほの坂田。とセンラにや。
ーーーーーーー本当にええ子やよ。
ファンとしても、一人の人としても。
高校生が大人に迷惑かけまいとしたことなんや。
大人だったらそれを分かってやれ」
ぐ、と言葉に詰まった坂田は視線を彷徨わせ、座席の上に残されたシュシュを手に掴んだ。
さ「………大人って不自由だな」
セ「そんな顔でライブ出たら承知せんからな。crewの子達の前でそんな顔して見い、いよいよAちゃんが落ち込むぞ。自分のせいじゃないかって」
さ「分かってる。ーーーーーーー大人だからなぁ」
大人ならもっと上手く割り切ればええんに、とセンラが内心呟いたが、センラ自身も何とも言えない気分だった。
セ「……………運良ければやけど、ライブで見つけられるかもしれん。スタッフさんに頼むか？」
一瞬顔を輝かせた坂田は、再び顔を伏せて首を振った。
さ「………いいよ。諦める」
セ「そか。ーーーまあ、本当に運命とかあるんやったら、またどこかで会うやろ。
元気出せ、さかたん」
さ「了解、元気出す。………あーもう！ヤケクソだよ！このシュシュ手首につけてライブ出たろ！」
Aちゃんが見つけてくれるかもしれんし、と言い放った坂田にセンラは突っ込んだ。
セ「いや、衣装さんに怒られるで！」
さ「じゃ髪？」
セ「メイクさんに怒られるわ！」
さ「マイクに巻いとく！」
セ「ああもう好きにせえ！」
少しだけ元のテンションに戻った坂田を見て安心するセンラであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
丙 - ありがとうございます。頑張りますね！ (2019年6月17日 20時) (
レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
てろち - 夢主ちゃん羨ましいなぁ…更新頑張ってくださいΣd(ﾟ∀ﾟd) (2019年6月15日 23時) (レス) id: 999d763a4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：丙 | 作成日時：2019年6月13日 20時
