10.葬式 ページ10
?「ご両親には、若い頃とてもお世話になったんだ…。まさかこんなことになるなんて………何か困ったことがあったら連絡してくれていいからね。」
「こちらこそ、ありがとうございます…」
頭が回らない。
みんな優しくて、みんな私を気にかけて話しかけたりいつでも呼んでくれと言って、名刺をくれる。
自分の知らない、両親の若い頃の話を聞かせて貰えて、嬉しい気持ちはもちろんある。
でも、やっぱり、いつも完璧な愛想笑いの頬が震える。
泣きすぎて、涙はもう出ない気がする。
食欲もあまりない。
心配かけないように人前では食べているが、1人になった瞬間、猛烈な吐き気に襲われて体重も少し減った。
事務所は、今経営の危機だった。
一番タレントがいた時期は、テレビをつければ必ず一人は冴樹事務所所属がいる、そんな時もあった。
だが、今は他の事務所からの引き抜きや、売れていたタレントが独立を考えていた時期でもあり、所属人数が激変。
それでもなんとか、他の所を削ったり、事務員を減らしたりなどなんとか対処してきた。
お母さんもお父さんも、自ら売り込みに行ったりして、ほとんど事務所に泊まり込みだった。
その日も、二人は営業に出ていて、たまたま二人で帰るタイミングが一緒になったので、タクシーに同乗して家に帰っていた途中だった。
トラックのブレーキが故障しており、後ろから衝突。
タクシーは大破していて、二人は車の外に投げ出された状態で即死だったらしい。
親戚は芸能界というものが好きじゃない、厳格な家で、葬式の準備や手続きはしてくれても、いざ式が始まるとなると、すぐに帰ってしまう。
式を手伝ってくれるだけまだ有難いと思いながらも、ぽっかりと空いた心では、気を使うなんて考えられなかった。
山守「Aちゃん、大丈夫？ 少し休んできたら？ あとは僕がやっとくからさ」
事務員で、お父さんとお母さんの秘書のような役割をしてくれていた山守さん。
小さいころから知っているから、年の離れた兄のような存在だ。
今回のことに関しても、彼が色々面倒を見てくれた。
「大丈夫だよ、山守さん。さっきも休ませてもらったし、お父さんたちの昔の話聞きたいし」
山守「絶対に無理はしちゃだめだよ」
「うん、ありがとう」
山守「業界の人たくさん来てるけど、基本的にいい人たちばかりだから、いつもみたいに気をはらなくていいよ。そういうのは僕がやるから」
「…うん、わかった」
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー！！頑張ります！！！！ (2020年4月2日 2時) (
レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます！更新まばらで申し訳ない！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます！ (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから！！！安心してのんびりお待ちいただければ！！！ (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津々里 捺貴 | 作成日時：2020年2月14日 3時
