50.息子 ページ49
『よし、ちゃんと撮れてるな……』
『社長、何なさってるんですか？』
『山守！ しー！！ 朔にバレるだろうが』
『また盗撮ですか？ そろそろ2人にバレて怒られますよ』
『怒られる時まで俺は2人を撮り続ける！ ほら、朔が初めてステージに出るぞぉー！！ 頑張れー！朔！』
はじめに出てきたのは、俺が急遽繋ぎでピアノをプリムラのライブで弾いた時。その裏側。
こんなの、いつの間に撮っていたんだろう。
この時の俺は、ライブの熱にあてられて、何もかも怖く無くなっていたんだよな。
『いやあー、やっぱり朔は天才だな！ 即興でPOPな曲をバラードに仕上げてきた！くぅー！ さすが俺のもう一人の子供！』
『全く……。またそんなこと言っていると、本当のご両親に怒られますよ』
『そんなのその時に考えるさ！ どうせ親同士も幼馴染だし、変わらんだろ！』
俺を映す映像に、たまに入る声。
そんなのが初演奏以外にも、USBに沢山映像が詰まっていた。
プリムラの活動が主だが、これはもう、単なるホームビデオのような感じだ。
頑張ってるなあとか、あれはイケメンに育つとか…
父が溺愛する息子を褒めるような言葉ばかりが聞こえてくる。
『彼の曲には力がある。どこまでも届いて離さないような引力と、その音楽の柔軟さだ。彼はその才能に気づいてない。……俺はなあ、才能を開花させる手伝いをしたいんだよ』
『あとはきっと朔自身で道を切り開いてくれるさ。なんてったって、俺の息子だからな！！』
ライブのざわめきの中で、途切れ途切れ聞こえる優しい言葉。
気付いたら涙が零れていた。
優しいけれど、時には厳しく叱ってくれる。
それが俺にとってどれだけ嬉しいことだったか、2人に伝える前に逝ってしまった。
伝えたい言葉は沢山あったのに、自分の拒絶によってその機会すらも無くしてしまった。
朔「音楽を沢山の人に届ければ、いつか2人にも届きますか…？」
俺は自分のために音楽をしよう。
大切な家族に捧げるための、自分の音楽を。
______第一章 私の始まり Fine,
____________________
ここまで読んで下さった皆様に、心から感謝申し上げます。
作者の津々里 捺貴(つづり なつき)といいます。
さて、第一章は終わりましたが、これからも物語は続きます。第二章からは、やっと色々と動き出します。
続編からもどうぞよろしくお願いします。
(Twitterもよろしく…お友達ほしい…)
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー！！頑張ります！！！！ (2020年4月2日 2時) (
レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます！更新まばらで申し訳ない！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます！ (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから！！！安心してのんびりお待ちいただければ！！！ (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津々里 捺貴 | 作成日時：2020年2月14日 3時
