48.第一歩 ページ47
朔がCDをガサッと3枚渡してくる。
チラッと見ると、CDには″デモ1〜16″と乱雑に書いてあった。
「え、これって一体何曲あるの…？」
朔は仏壇の前にお菓子と花を備え、正座し手を合わせている。
もう2人との話に夢中で、私の声は届いていないようだ。
それにしても、本当にどうしてやる気になってくれたのだろうか。
私が言ったことと言えば、幼馴染としてあれこれ余計なことを一方的に言ったくらいで…。
あとでよくあの時のことを考えて反省したくらいなのに…。
「1番朔が変わってないのは、そういう自分で決めたら突っ走るところだよね…」
朔「何1人で意味不明なこと言ってるんだ」
「びっっ、くりした…。2人との話は終わったの？」
朔「長いこと話しても帰ってこない返事は辛いだけだからな」
真顔でそう言う朔の表情からは、私には見えない感情が隠れている気がした。
「それで、このデモ曲ってたった一晩でこんなに作ったってこと？ え？ 天才？」
朔「天才かどうかはこれから世間が決める事だろ。曲は、プリムラ辞めた時からずっと貯めてたやつとか、そのリメイクとか、今朝書いたやつとか…まあ色々。それだけあれば好きなのあるだろ」
「ずっと、私の曲作ってたってこと？」
朔「その表現は間違い。お前に、じゃなくて、人に歌って欲しい曲を作ってただけ」
「えー？ ほんとー？」
朔「…うるさい」
こういう感じも、なんだか懐かしい。
昔は、朔が書いた曲を1番最初に聞くのは私の役目だったな。
きっとこれも、私のために作ってくれてたのに隠しているだけだろうし。
そういうところも幼馴染は可愛いものだ。
「まって、和んでる場合じゃなくて。で、結局なんで急に……」
朔「……今度はお前が人のためにアイドルになるっていうなら、俺は自分の音楽を届けるために曲を書く。そうしようと思っただけだ」
「つまり、私を利用するってこと？」
朔「利害関係が一致したからな」
淡々とした言葉。
でも結論は同じ。
私と違う道を、私と同じ手段で進む。
「うん。そっちの方が、今の朔らしいね」
「改めて！ ……冴樹芸能事務所 二代目代表取締役社長兼、アイドルの、冴樹Aです。これからよろしくお願いします。」
これからは、新しい私と新しい朔として互いの道を歩む。
朔「音楽家の市井差朔です。これからよろしく」
これでやっと、新しい私への第一歩だ。
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー！！頑張ります！！！！ (2020年4月2日 2時) (
レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます！更新まばらで申し訳ない！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます！ (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから！！！安心してのんびりお待ちいただければ！！！ (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津々里 捺貴 | 作成日時：2020年2月14日 3時
