46.どっちも ページ45
「先のことを考えて怖がるなら、手を伸ばしてそうなってから怖がってよ！ もう誰も傷付けないし、私はもう消えない。皆と一緒に進むって決めたの！」
朔の心の奥底で考えていたこと。感じていたこと。
今、私にそれを頑張って伝えようとしてくれている。
それ自体はとても嬉しいことではある。
だがそれは、打ち明ける話としてでは無く、やらない理由として仕方なく言っているに過ぎないのだ。
それで簡単に諦められるほど朔の価値は低くない。
「それでも信じられないっていうなら、繋ぎとめるくらい凄い曲書けばいい！」
朔「……そんなの、」
「私が世界で一番好きな曲は何か、忘れたわけないよね？」
朔「……前と変わってないなら、俺が初めて書いた曲…か？」
「だいっ正解！！ 私の大好きな音楽家である朔が書いた、本気の曲に私が揺らがないわけないでしょ？ そういうのを書いてみせるくらい言ってみればいいじゃん！！」
朔「でも、」
「でもじゃない！！ 弱虫な朔も、音楽家としての朔も、どっちも私の大好きな大切な幼馴染なの！ これ以上悪いこと言うなら怒るよ？！」
朔「もう怒ってるだろ…」
私は朔と違って説得出来るような強い言葉を紡ぐことはできない。
それでも幼馴染に気持ちを伝えようと、なんとか必死に頭を回転させて口を開く。
結局、あのとき私のせいで深い傷がついていたのだ。
その傷が、今でも朔が一歩踏み出せない理由を作ってしまっている。
私がつけた傷なら、私が治さなきゃ。
これから先、一緒に笑いたいファンには朔も入っているのだから。
「私はもう逃げないよ。それしか生きる道がないのもあるけど、お父さんとお母さんに約束したから」
全員を幸せにする。
でもまずは、朔に幸せになってもらわなきゃ。
苦しんだ分、何倍も笑って、自由になって欲しい。
「……まあ、今日決めてとは言わないよ。でも、私の気持ちは全部伝えたから。弱いのを言い訳にするんじゃなくて、朔がやりたいかどうかで決めて？」
朔「………わかった。……また来る」
「うん！ また来て！」
しょんぼりすぼまる背中を、ベッドに寝たまま見送る。
また来てくれるだけで今は十分。
…昔だったら、怒ったら顔見せにも来てくれなかっただろうに。
それに本人は気付いているんだろうか。
「変わったところも変わってないところも沢山あるのに、変わってない所だけ気にしちゃうんだな…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー！！頑張ります！！！！ (2020年4月2日 2時) (
レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます！更新まばらで申し訳ない！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます！ (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから！！！安心してのんびりお待ちいただければ！！！ (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：津々里 捺貴 | 作成日時：2020年2月14日 3時
