41.愛の怒り ページ40
「うう…なんか視界がぐらぐらする…」
山守「まだ起き上がらないで下さい…。倒れたの、覚えてますか？」
そう言われると、ゆっくり記憶が思い出されてくる。
最後に見たのは、事務所の会議室。
たしか、急に頭を鈍器で叩かれたかのような痛みに襲われ、全身の力が一気に抜けてしまった。
それから病院に運ばれたのか。
事務所全体での会議だったのに、社員には悪いことをしてしまったな…。
医者「目が覚めましたね。体調はどうですか」
「まだ身体と視界がふわふわしてます。頭もちょっと痛いですかね…」
医者「倒れる時に頭を打ったようだったので、脳の検査も一応しましたが問題ありませんでした。ただの過労です」
「過労…ですか」
医者「…なるにはあと10年早いですよ。衣食住を整えて、あとはしっかり毎日寝れば治ります。まだ体調悪い様なら、今晩はもう少し様子みて明日退院にしましょう」
「わかりました。ありがとうございました」
入院なんて人生で初めてだ。
じゃなくて。
山守の瞼が少し赤い。心配をかけてしまったようだ。
山守「真奈香さんには、しばらくお休みすると連絡しました。事務所の仕事の方も、今社員で対応してます」
「そうなんだ…。迷惑かけちゃったな…みんなに申し訳ない」
山守「………社長が…Aちゃんがもしいなくなってしまったら、もっと大変になるんだ。今度こそうちは倒産してみんな路頭に迷うことになる。わかってるよね」
「……うん」
山守「これからは、疲れてるなら疲れてるって言ってくれ。寝れていないなら寝れていないって言ってくれ。その他も……」
「ごめん。これからは言うって約束する」
山守の目には、うっすら涙が見える。
お父さんとお母さんの葬式の時ですら、人前で涙を見せることはなかった山守が、私を心配して、怒って、泣いている。
それに目を逸らしてはダメだ。
山守「お願いだから…もう二度とこんなことにならないでくれ……」
「……うん。約束する」
山守に最初に声をかけたのは私だった。
事務所の社員募集のチラシを見ていたのを、小学生だった私がみつけて捕まえた。
私にとっての身近な家族がもう山守しかいないように、山守にとってもきっとそう。
もうこれ以上家族を失いたくないのも同じ。
そんなあたりまえのことに、今更気付く。
「ごめんね、山守」
山守「分かってくれたなら、それでいいよ。僕こそ気付けなくてごめんね」
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー！！頑張ります！！！！ (2020年4月2日 2時) (
レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます！更新まばらで申し訳ない！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます！ (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから！！！安心してのんびりお待ちいただければ！！！ (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津々里 捺貴 | 作成日時：2020年2月14日 3時
