40.思い ページ39
朔「こんな風にまた会うことになるなんてな…秋冶さんの方には連絡先残ってるはずなのに、秋冶さん、Aに連絡先教えないでいてくれたのか…」
朔も、Aと同じくらい二人のことを大切に思っていた。
両親が海外に赴任しているため、ずっとAの家の近所に住む親戚の元で暮らしていた。
年に一度、親に会えるかどうかだった朔にとって、親という存在からの愛情は秋冶達からのものが大半だった。
Aと再会してから2日。
Aの家に行く約束をした日だ。
今日も、プリムラの頃の夢を見た。
普段とは別人の様にステージで輝く、Aの姿が好きだった。
自分の歌を、想像以上の表現でパフォーマンスされるのは、本当に誇らしいことだった。
それをAが辞めると言った時は、ただショックだった。
自分が見えている世界と、Aが見えている世界に差があったことを知り、自分が情けなくなった。
あの頃はそれを受け入れることができず、ただAを拒絶することでしか悲しみを振り切ることができなかったのだ。
朔「…謝らなきゃいけないのは俺の方なのに、あいつは…」
曲を作ることはできない。
同じ恐怖を味わいたくないから。
あの頃のままの弱虫だから。
それだけの理由でやりたくないと言えば、怒られるだろうか。
でもひとまず、今日は謝ることはしよう。
そう、心に決め、久しぶりに事務所に電話をかける。
朔「…………あ、もしもし。市井朔といいますが、Aさんはいらっしゃいますか?」
事務員「ええ…っと…今社長は入院してまして…」
朔「入院?!」
事務員「あ、少々お待ちください。市井さんに、副社長の山守の方から言伝を…」
朔「……はい。………はい。…わかりました。ありがとうございます。失礼します」
言伝には、Aが入院しているであろう病院の名前と部屋番号があった。
きっと、ここに来いということなんだろうが…。
幸い、家から一番近い病院だ。15分程で行けるだろう。
それより、だ。
Aが、入院?
一昨日はどうみても元気だったはずだ。
まさか、なにか大きな病気?
それとも二人と同じく事故?
嫌な想像ばかり浮かんでくる。
再会したばかりで、ろくな話も出来ていないのに、あいつまでいなくなってしまったら…
とにかく、急いで向かうしかない。
A「…あれ、朔は…?」
山守「社長…! 大丈夫ですか…?! 気分は?!」
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー!!頑張ります!!!! (2020年4月2日 2時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです!これからも更新頑張ってください! (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます!更新まばらで申し訳ない! (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます! (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから!!!安心してのんびりお待ちいただければ!!! (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:津々里 捺貴 | 作成日時:2020年2月14日 3時