39.本題 ページ38
「…まだ、怒ってる？」
朔「…別に僕は怒ってるわけじゃ……」
「え？ 怒ってるわけじゃないの…？」
朔「…………もういい。Aももうあの時の気にしなくていいから。」
口では怒っていないといいながら、朔の表情からは悲しんでいるような、寂しがっているような、でも少し安心しているような…複雑な感情が見える。
これ以上追求しても、変に怒りに触れるだけだろうからひとまず忘れよう。
本題だ。
「なら、前みたいに曲を…」
朔「ごめん。できない」
まあここまでは予想通り。
でも、″できない″理由にプリムラの件が一切関わっていないというのは予想外だった。
「理由は？ なにか原因があるなら、」
朔「原因、とかじゃない。…ただ、やりたいと思えない」
「………………そう、なんだ」
この世に、やりたいと思えないと区切りを付けてしまった人に、やりたいと思わせる術はあるのだろうか。
そりゃ、すぐに曲を書いてくれると思っていたわけではないが、今後どう交渉していけばいいのかが全く浮かんでこない。
何度も通う？
通ったところで考えが変わると思えない。
熱意を語る？
朔は芯が強い人だ。考えを真逆に変えてくれる程の言葉を、私が持ち合わせている自信はない。
泣き落とす？ひたすら頼んで情につけ込む？お金？
どれもきっと無意味だ。
どうすれば…
朔「また学校来られると迷惑だから、連絡先は教えておく。……じゃあな」
朔は、千円とメモ紙をポンと机に置いて席を立つ。
「待って！！」
朔「ごめん、やることあるから」
「じゃあ明後日！ 祝日で休みでしょ？ 余裕ある時にお父さんとお母さんに会いに来てよ。2人ともきっと会いたがってるから」
朔「…わかった。夕方、そっち行く前に連絡する」
「ありがとう。楽しみにしてる」
朔「…それじゃ」
咄嗟に出てしまった。
お父さんとお母さんを口実にしてしまった気がするが、きっと許してくれるだろう。ごめんね。
席の窓越しに、朔の背中が見えなくなるまで外をぼーっと見つめる。
知っていることも、知らないことも沢山あった時間だった。
ただ1つ、知らないことのなかでわかったこと。
プリムラの音楽を作っている時と、今やっている自分の音楽活動について話している時の違いだ。
「前はあんなに楽しそうに世界を広げていたのに…」
「今はまるで、数学を解いてるみたいな…無機質で、基本みたいな…なんで…」
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー！！頑張ります！！！！ (2020年4月2日 2時) (
レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます！更新まばらで申し訳ない！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます！ (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから！！！安心してのんびりお待ちいただければ！！！ (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津々里 捺貴 | 作成日時：2020年2月14日 3時
