あの日からIDOLになる 第一章

26.再会 ページ26

山守「細川真奈香っていえば、今じゃダンスの世界で知らない人はいないみたいですからね。忙しいからって言われないといいですけど…」

「ああ、でも真奈香さん、日本だと受ける仕事ほとんどないみたい。短期的にモデルに教えたりとかしか今は新規の依頼受けてないんだって」

山守「そうなんですか…昔のよしみでなんとか受けてくれるといいんですけど…」

「あはは…昔のよしみっていっても、まずはお説教から始まりそうだけどね…」



あれから1週間後。
ダンス方面での唯一のアテ、細川真奈香から、予定通り帰国するとの連絡があり、山守と土下座しに…ではなく、空港に迎えに来た。

風の噂では、ドイツでの仕事は無事に大成功を収めたとのこと。
しばらくは日本に引きこもるとインタビュアーに答え、とても残念がられたらしい。



「あ、あの人じゃないかな」

山守「………胃薬飲むの忘れた…」



待ち合わせは1階のロビー。
たくさんの人が行き交う中、一際歩き方や姿勢の良さが目立つ人がこっちに向かって歩いてきている。
相変わらずの高身長と、綺麗な黒のロングヘア。
そしてサングラスに真っ赤なコート。
そんな人、真奈香さんのほかにもたくさんいたら、なかなか衝撃だ。



「真奈香さん！！」



久しぶりで嬉しくて、思わず駆け寄ろうとする。

が



真奈香「どんなときでも姿勢と身体の軸を意識！！！！ あんだけ言ったでしょ？！？！」

「ご、ごめんなさい！！」



やっぱり最初は怒られてしまった。
まさか、ここで怒られるなんて…。気が緩んでいた。

真奈香さんの周りにいた人みんなが姿勢を正したのは少し面白かったけれど。



真奈香「うん。それでよし。……たった数年で随分身長伸びたわね。雰囲気も随分大人になった」

「うん」

真奈香「……元気にしてた？ 今の生活には、慣れてきた？」



真奈香さんなりの優しさが伝わってくる。
私の頬に手を当てて、とても優しい笑顔を向けてくれること人は、私のことを大切に思ってくれている一人だ。
そして真奈香さんも、私と同じくらいお母さんとお父さんの死は受け入れ難い事だったんだと思った。



「………うん。元気！ 笑っていなさいって、色んな人に言われたから」

真奈香「そう。……それじゃ、その後ろでビクビクしてるのも！ …まずは2人にも会わせてくれる？」

山守「あ、はは…お久しぶりです、真奈香さん…」

「……うん！ きっと2人共真奈香さんに会いたがってるから！」

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