六十二、争奪戦 ページ17
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「A、あかん。女の子をそんなとこに寝かせるわけにはいかん。」
「でもそうしたら智がここで寝るんでしょ。」
「俺はええねん。」
「だめ、それじゃ智、お仕事の疲れ取れない。」
「大丈夫やから、ベッド行き？」
さっきからこのやり取りを10分くらい続けている。
智がシャワーを浴びてる間に、智がソファで寝てしまわないように陣取っていたら、これだ。
「私は智より小さいし、ソファでも大丈夫。」
「そうかもしれへんけど、んーーー、A、お願いやからベッド行きや。」
「やだ。」
「んーーーーー。」
智は困ったように自分の髪をわしゃわしゃとしてから、「わかった。」と一言。
ほっとしたのも束の間、突然ふわっと宙に浮く体に「へ？」と気の抜けた声が出る。
「強制連行。」
智はそう言って、私をお姫様抱っこで抱え上げ、問答無用でベッドへ連れていかれた。
優しく降ろされたフワフワなベッドの上からは、ふわっと智の匂いがする。
けれどそれに安心してる場合ではなくて、「じゃ、おやすみ」なんて言って向こうに行ってしまいそうな智を慌てて抱きついて阻止する。
「もー。」と困る智がそろそろ可笑しくて少し笑うと、智も「なんで笑ってんねん。」と笑っていて、二人してケラケラと笑い合う。
「智、それなら一緒に寝よう。」
「それはもっとあかんわ。」
「なら私があっちで寝る。」
「もー、ほんま頑固。」
少し高めの声で智がそう言って、続けて諦めたように「わかった、今日は俺の負け。」とベッドの中に潜り込む智。
けれどいざ一緒に入ると、どんどん早くなっていく鼓動の音。
智はどんな顔してるかなと顔を上げてあった目にドクンとまた心臓が跳ねる。
「服、そんなんしかなくてごめんな。ぶかぶかで動きにくいやろ。」
「んーん。大丈夫。」
貸してもらった智の服は大きくて、あまり背の高い方ではない智でも、こんなに大きいんだなと改めて男の人なのだと実感する。
向かい合わせがなんとも恥ずかしくてもぞもぞと布団に顔を埋めると、さらっと髪に触れる彼の手。
「おやすみ。」と呟いた声がいつも以上に優しくて、安心して目を閉じると思いのほか直ぐに、すっと夢の世界に手を引かれていった。
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いつき(プロフ) - サイド読んで胸がギュッとしました (2020年6月11日 16時) (
レス) id: 8b7262866a (このIDを非表示/違反報告)
つづり(プロフ) - しらたまさん» ありがとうございます。ゆっくりにはなってしまいますが、面白いと思っていただけるよう頑張りますね。 (2019年2月17日 11時) (レス) id: 063d02935e (このIDを非表示/違反報告)
しらたま(プロフ) - これからの展開がとっても気になります、、 (2019年2月17日 0時) (レス) id: 04ec2ee818 (このIDを非表示/違反報告)
つづり(プロフ) - いつきさん» コメントありがとうございます。そんな風に言って頂けて嬉しいです。このお話は初めて書いたものですし、自分自身大事に思っているので、しばらく更新していなかったのですが、最後まで書くつもりでいます。近いうちに更新するので、良かったらお付き合い下さい。 (2018年11月20日 9時) (レス) id: 2b8a9cbc91 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - すごい心に刺さるお話でもう少し早く出会っていたら完結まで見れたのかなと悲しく思っています。素敵なお話で続きが気になります。気が向いて書いてくれるのを楽しみにしてます。 (2018年11月20日 3時) (レス) id: 9589088492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つづり | 作成日時：2018年9月9日 23時
