六十一、決意 ページ16
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けれど勝手にここにいるわけにも行かないのが現実で、ほとんどかけたことの無い母の番号をゆっくりとおしていく。
しばらく続いた呼出音、その後に「はい。」と聞こえた少し掠れた母の声。
「お母さん…。」
「…A…。」
母の声は震えていた。
自分も辛い中で、きっと私の事をどうしたらいいのか答えが出ないで、苦しんでいる。
帰りたくなかった、ずっと痛くて怖くて。
母が何とかしようとしていたのを知っていたから、帰り続けていたあの場所。
けれど、母ももう限界だった。
まとまらないまま今の状況を伝えると、聞こえてきた母の嗚咽。
「ごめんね…」と零した言葉に私も言葉が出なくなる。
そうしていたらいつの間にか目の前に立っていた智が、電話を頂戴と手を差し出した。
おそるおそる差し出した携帯電話を、智が耳にあてる。
「はじめまして」と話し始め、真剣な顔で自己紹介と、説明とをして何かを聞いて「はい。」と答える智。
そんな智を見つめていると、智がこっちを見たと思ったら私の手を握る。
「落ち着くまで大切にお預かりします。絶対に絶対に。やから、任せてはいただけませんか。」
母の答えがどういう言葉だったのかはわからない。
けれど、優しく笑った智の顔でどうやら大丈夫だということはわかって。
ほっとしたら、また泣けてしまって、気づいたら再び智の腕の中だった。
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いつき(プロフ) - サイド読んで胸がギュッとしました (2020年6月11日 16時) (
レス) id: 8b7262866a (このIDを非表示/違反報告)
つづり(プロフ) - しらたまさん» ありがとうございます。ゆっくりにはなってしまいますが、面白いと思っていただけるよう頑張りますね。 (2019年2月17日 11時) (レス) id: 063d02935e (このIDを非表示/違反報告)
しらたま(プロフ) - これからの展開がとっても気になります、、 (2019年2月17日 0時) (レス) id: 04ec2ee818 (このIDを非表示/違反報告)
つづり(プロフ) - いつきさん» コメントありがとうございます。そんな風に言って頂けて嬉しいです。このお話は初めて書いたものですし、自分自身大事に思っているので、しばらく更新していなかったのですが、最後まで書くつもりでいます。近いうちに更新するので、良かったらお付き合い下さい。 (2018年11月20日 9時) (レス) id: 2b8a9cbc91 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - すごい心に刺さるお話でもう少し早く出会っていたら完結まで見れたのかなと悲しく思っています。素敵なお話で続きが気になります。気が向いて書いてくれるのを楽しみにしてます。 (2018年11月20日 3時) (レス) id: 9589088492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つづり | 作成日時：2018年9月9日 23時
