四十一、空っぽな家 ページ42
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夜になっても、これまで続いた言い合いは聞こえてこなかった。
父も、母も、帰ってこない。
家の中は不気味なほど静まり返っていた。
それでも、あの声が聞こえるより、何倍もましだ。
いつからか聞こえてくるようになった当たり前な言い争い、その原因のひとつはきっと私だ。
私がいなければもしかしたら父と母の関係はここまで悪化していなかったかもしれない。
そんなことを考えては打ち消す。
ふと時計を見ると、いつも公園に行くくらいの時間になっていた。
私は誰もいない空っぽな家を後にし、いつも通り公園に向かった。
「お前ほんまにちっちゃいなー。」
公園に着くと既に智が猫と戯れていた。
優しい顔で、大事そうに猫を撫でている。
「智。」
「あ、A。･･･なんや、寂しそうな顔しとるな。」
「え･･･。」
「なんかあった？」
智は私の傍まできて、心配そうに顔を覗いてくる。
いつも通りのつもりなのに、智には全部見透かされていた。
「ううん、なんでもない。」
「ほんま？」
「うん。」
「んー、そっか。なら、ええわ。」
智は無理に聞いてくることはなく、その代わりに私の頭にぽんっと手を乗せる。
話したい気持ちもあった。
話せば智はきっと、心配してくれるし、自分の事以上に考えてくれるのだろう。
けれど、これは私の問題で、智は関係の無いことで、話してもきっとただ背負わせてしまうだけだ。
そんなの、ただのエゴだと分かっていた。
だから、このままでいい。
智は何も知らないままでいい。
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つづり(プロフ) - Moco.さん» コメントありがとうございます。初めていただいたコメントということもあり、とても嬉しかったです。ご期待に添える展開になるかはわかりませんが、精一杯頑張ります。元気をいただきました。ありがとうございます！ (2018年6月7日 1時) (
レス) id: 2b8a9cbc91 (このIDを非表示/違反報告)
Moco.(プロフ) - お話の世界に引き込まれて30頁一気に読んでしまいました。今後の展開がとても楽しみです！応援しています！ (2018年6月6日 11時) (レス) id: a529d7a9bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つづり | 作成日時：2018年3月21日 3時
