三十二、想い合い ページ33
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――気がつくと真っ白な天井が見えた。
いくつもの声が外から微かに聞こえてくる。
私、どうしてここにいるんだっけ。
ああ、そうだ。
智と動物園に来てて、子どもの泣き声が聞こえて･･･それから･･･
首を横に動かすと緑色のパイプ椅子が見えた。
何となくそこに智がいたんだと、そう思った。
智はどこだろう。
身体を起こしてとりあえずベッドから出ようと思った時、部屋のドアがガチャッと音を立てて開いた。
「A･･･！良かった･･･。目覚めたんやね。」
「私･･･」
「倒れたの覚えとる？」
首を横に振るが、ああ、やっぱりそうかと納得する。
「ここは･･･？」
「救護室。係員さんが一緒に運んでくれたんやで。」
「そっか･･････ごめん･･･なさい。」
せっかく連れてきてくれたのに、台無しにしてしまった。
それが申し訳なくて、智の顔が見れない。
私が下を向いて手を固く結んでいると、それを解くように智の手が重なる。
智の方を恐る恐る見ると、少し困ったように、でも優しく彼が笑っていた。
「このまま起きひんかったらどうしようって思ってた。目が覚めて良かった。」
智の手の温かさに、視界が滲む。
智はそれを見て、今度はいつものように私の頭に手を乗せる。
「･･･泣かへんで。俺はAに笑ってほしい。」
懐かしさを感じる響きを宿ったその言葉に、心が温まる。
私は不器用でいいやと、彼の方を見て笑って見せた。
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つづり(プロフ) - Moco.さん» コメントありがとうございます。初めていただいたコメントということもあり、とても嬉しかったです。ご期待に添える展開になるかはわかりませんが、精一杯頑張ります。元気をいただきました。ありがとうございます！ (2018年6月7日 1時) (
レス) id: 2b8a9cbc91 (このIDを非表示/違反報告)
Moco.(プロフ) - お話の世界に引き込まれて30頁一気に読んでしまいました。今後の展開がとても楽しみです！応援しています！ (2018年6月6日 11時) (レス) id: a529d7a9bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つづり | 作成日時：2018年3月21日 3時
