Youtuber 短編集

痛み/そらちぃ ページ37

「A」

「ん？」

「今度5人でディズニー行こうよ」

「あぁ...」


曖昧な返事になってしまったのには理由がある。私は昔から人混み、喧騒が大の苦手だ。それならそうと正直に言えばいいのに、言えないのにもまた理由がある。



人混み、喧騒が苦手だということを友達に打ち明けたことがある。そんな私に向けられたのは軽蔑の目。嘲笑。

あの日、私は学んだ。
これは“異常”で“嘲笑”されることだということを。





私の変化に気付いたのかそらが顔を覗き込む。


「...泣いてる。」


あの情景が、声が、視線が、フラッシュバックする。

ああ、そうか。

人混みが苦手な訳でも喧騒が苦手な訳でもなくて。

いつからか、本当の自分を見せることで自分を嫌うかもしれない“人”が怖くなっていたんだ。


涙が頬を伝って落ちていく。


「...泣かないで。」

服の袖で涙を拭うそら。


___怖いの。

「そらに嫌われるのが怖い。」


ぽたりぽたりと涙がそらの手に落ちる。


___俺も怖い。

「Aが怖いんだったら俺も怖いよ。」

だから、今も。

「Aが泣いてて悲しいんだったら俺も悲しい。」



目を合わせるとそらの腕が体に回った。

ふわっとした安心感に包まれる。







「...Aの気持ちが痛いほど分かる俺がAを嫌いになることなんてあるのかな。」


この日、私は学んだ。

大好きな人が自分の気持ちを分かってくれていることを。

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