Youtuber 短編集

理由/はやしん ページ32

“家の前おるから”

唐突に送られてきたメール。


カーテンを開けると寒そうに身を小さくしてポケットに手を入れてこっちを見上げている彼が。

なんで、なんて思ったけど上着とそこらへんにあったカイロを持って外へ出る。





「どうしたん」

「どうしたんちゃうわ、また学校サボったな」

「ごめんて、カイロあげるから許して」

はい、とポケットからカイロを出して手渡す。

「二日も休むんやったらせめて教えてよ」

「別にいちいち言うことでもないやん」

「そんなことないわ」

カイロを持った手で両手を包まれる。


「こうしたら二人ともあったかいやろ？」

にこっと笑いかけられる。
なんとなく照れくさくて目を見れない。

「で、どうしたん？」

「いや、特に用はないけど会いたかった」

「なにそれ」

なんやろうなあ、って少しだけ笑いながら言う。でもすぐに意図してなのかぱっと表情を変えて。

「明日は来るんやで」

「えええええ」


露骨に嫌そうにするとむっとした表情になって、優しく抱き締められた。

「約束するまで離さん」

「分かった分かった行くから、約束する」

「ほんまに？」

「ほんまやって」


ゆっくり離すと

「学校行った時にAがおらんかった時の俺の気持ち考えたことないやろ」

と独り言のように呟く。


もう一度私に向き直ると

「明日絶対来てよ！約束したからな！
じゃあ！」

と念を押しながらポケットに手を突っ込んで帰って行った。





私が明日学校に行く理由はきっと彼に会う為なんだろう。

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