Youtuber 短編集

求めて/george ページ19

“目閉じて”





“なんで”



なんて反抗することもなく、

大人しく彼の言いなりになる。



唇に温かいものが触れる。



数秒すると、離れて。



でも、また一呼吸置くと触れる。



さっきからその繰り返し。






「なぁ。」



少しかすれた声が脳内に響いた。



ゆっくりと目を開く。




「今日は俺からは終わり。」


でも。

と私の右手に左手を重ねながら続ける。






「Aからしてくれても良いよ。」



目を真っ直ぐに見据えて言う。






「......そんなのできな「できる」



「なんで、できない?」

その目は私を捉えたまま離さない。



「......恥ずかしい。
...ジョージみたいに経験豊富じゃないから。」



思えば、ファーストキスもジョージだった。

だからか、彼とのキスはいつになっても、何回重ねてもいまだに慣れずに恥ずかしい。






ぎゅっと手を握る力が強くなった。




「良いよ、分かんなくても。下手でも。」


「...ほんとに...?」


「ほんとだよ。」


優しく微笑みかけてくれる。








ん。



と、促すように目を閉じる。





心拍の速さを抑える努力もせず。





身を乗り出すように座っている彼の両脇に自身の手を置いて。








ゆっくり、ゆっくり、唇を触れさせた。





すぐに離すつもりだったのに。



繋いでいない彼の右手が頬と髪を触りながら離れないようにしてしまう。






数秒後、やっと離したかと思うとふふっと笑う。









「たまにはこういうのも良いだろ。」









“...やっぱり最後は俺からになっちゃうんだけど”









そう言って、今度はいつもより少し長いキスをした。

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