Youtuber 短編集

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「おはよう」




気付けば横にりくくんがいた。



「お...はよう。」



自転車から降りて私のペースに合わせて歩いてくれている。



あっ、そうだ

と言うと思い出したような素振りを見せて

顔をぱっと明るくする。



「話すこと考えてきたよ
Aちゃんは「りっくん!」

二人同時に声がする方を見ると数人の女の子がこっちに向かって小走りに走って来る。



「ってか、こっちだっけ?通学路」

「ううん、違うよ」

「? じゃあなんで……」



「俺、先行くね」

女の子達の顔を見回して言う。



「...じゃあ、また帰り声かけるね」

と言いながら自転車に跨り凄いスピードで行ってしまった。







「Aちゃん!」

昨日と同じ声。同じ声の届き方。


振り向くと、

歩くの早くない?

と言いながら私に近付いてくるりくくん。



朝の話の続きなんだけど...

と、楽しそうに話し出す。



「りくくん」

話を遮るのは悪いと思いながらも声をかける。


「ん?なに?」

「方向全然違う...から」

「あぁ、大丈夫、気にしないで」

「...でも動画で色々忙しいと思うから」



「良いの 俺が一緒に帰りたいから
もしかして、迷惑だったかな」

とても不安そうな表情で聞いてくる。


「いやっ、私は全然迷惑とかじゃ...」

「良かった」



あっ、じゃあさ、

と今思い付いたような素振りを見せる。





「これから一緒に帰ろうよ」



ほんとは朝も一緒に登校したいんだけど...

と視線を私の後ろにやりながら言う。




「どうかな、ダメ?」



「...ダメ......じゃない。嬉しい。」



そうすると、りくくんは少なくとも私が今まで見た中で一番の笑顔を見せた。

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