回想… ページ9
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近藤「…御陵衛士、だって?」
伊東「如何にも。
この伊東、同志と共にここを出て、孝明天皇の御陵衛士を拝命する所存ですわ。
まあ、前々から考えていたのですけれど、あんな場面を見せられてしまったのですから。
ちょうどいい機会だと想いまして。」
伊東参謀は、目の前に座る
近藤局長と土方副長の目を見つめながら言い放つ。
伊東「元々、尊王攘夷の志を持って新選組に協力しておりましたけど、あなたたちとはどうにも水が合わなかったようですし。」
土方「………理屈はいい。
伊東さん、あんた、ようするに隊を割ろうっていうんだろう?」
伊東「隊を割るもなにも、あなたたちのような獣の集団と一緒にいられませんわ。」
近藤「……まあ、伊東さんがそこまで言うならしょうがない。だが、説明しように、今回の事件の大元は幕府の依頼なのだ。
今回のことを外に漏らされては、我々も黙っている訳にはいかない。」
普段、温厚な近藤局長の瞳が目が細くなり
伊東参謀を見つめる。
伊東「……そこは、取引というものですわ。
あなたたちは黙っていてほしいし、私たちは出て行きたい。
だから、出るにあたって隊士を分けてほしいと言っているのよ。」
近藤「………わかった。だが、連れて行くからには本人の承諾をお願いします。」
伊東「それはもう、もちろんですわ。
表向きは協力関係にある…。と言う形をとらせて頂きますし。
その方が、お互いにとっても都合がよろしいじゃないかしら…ふふっ」
近藤「協力体制なぁ…と言うことだそうだ。トシ、これでいいかい?」
土方「……ちっ、近藤さんがそう決めたなら、俺はもう何も言わねえよ。」
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これが、僕が目を覚ます前に
近藤さんたちが繰り広げた話合いだそうだ。
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作者名:つやか | 作成日時:2022年5月6日 11時