鬼の一族と時の権力者 ページ21
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お千:この国には、古来から鬼が存在していました。
幕府や、諸藩の上位の立場の者は知っていたことです。
風間たちという鬼の存在を認めた以上、それは驚くべきことではない。
僕も、たぶんここにいる新選組幹部も薄々わかっていたことではある。
お千:ほとんどの鬼たちは、人々に関わらず、ただ静かに暮らすことを望んでいました。
ですが・・・。
人々と鬼が関わると、鬼にとってはいいことではないのだろう。
それは、お千ちゃんの顔を見ていればわかる。
お千:鬼の強力な力に目を付けた時の権力者は、自分に力を貸すように求めました。
千鶴:鬼たちは・・・それを受け入れたんですか?
お千ちゃんは、少しばかり俯いたが千鶴を見つめてその問いに答えた。
お千:多くの者は拒みました。
人間たちの争いに、彼らの野心に、なぜ自分たちが加担しなければならないのかと。
かおり:それが、普通でしょうね。
お千:ですが、そうして断った場合、
圧倒的な兵力が押し寄せて村落が滅ぼされることさえあったのです。
千鶴:ひどい・・・。
かおり:時の権力者からしたら、自分たちに加担しないということは次には自分たちを滅ぼす要因になる鬼を滅ぼすしかなかった。
お千ちゃんは、辛そうに目をつぶり僕の言葉に一瞬だけ頷いた。
お千:鬼の一族は次第に各地に散り散りになり、隠れて暮らすようになりました。
人との交わりが進んだ今では、血筋の良い鬼の一族はそう多くありません。
近藤:それが、あの風間たちだということかな?
お千ちゃんは小さくうなずく。
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作者名:つやか | 作成日時:2022年5月6日 11時