羅刹と山南さん-1 ページ3
×××
山南さんの髪色がみるみる白へと変わっていく。
千鶴:きゃあああっ!!
千鶴を後ろへ押したときには遅かった。
僕は、山南さんに手首を掴まれていた。
かおり:っ…
凄まじい力だった。振りほどくどころか、拳を握ることすらできない。
骨が砕けそうだった。
かおり:い、痛いですよ。……山南さんっ!!
山南:血……血です。
山南さんは、僕の腕に触れ
右の二の腕あたりの傷口から血をすくい取った。
山南:血をください。君の血を、私に…。
かおり:は、離してくださいっ
必死に抵抗するが、敵わず
原田:やめろ、山南さんっ!
永倉:くそっ、山南さんまで、血の匂いに当てられやがったか。
藤堂:山南さん!そいつを離せよっ!
実力で制止すべきかどうか、
皆の迷いを断ち切ったのは土方さんだった。
土方:取り押さえろ!多少、手荒になってもかまわねぇ
永倉:ちっ、しかたねぇ
原田:悪く思わないでくれよ、山南さん。
藤堂:かおりを、殺らせるわけにはいかないんだよ。
皆が次々と刀を構え直す。
伊東:君たち、まさか山南さんを…!?
勝手なことは、この伊東が許しませんわ!
近藤:伊東さん、ここは危険だ。
後は、トシたちに任せて、俺たちは部屋から出ていよう。
伊東:あっ、近藤さん!?
なにを…わっ、わっ、離しなさいよっ!
近藤さんは、暴れる伊東さんの身体を
抱きかかえるようにして、無理やり部屋から連れ出した。
原田:ありがてぇ。
後は、こっちの始末をつけるだけか。
永倉:だが、それがなかなか…
藤堂:山南さんの腕は半端じゃなし、まして今は…
13人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つやか | 作成日時:2022年5月6日 11時