私の気になること 千鶴side- ページ11
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伊東さんたちが隊を離れることを、
新選組組に残る皆はどう思ってるんだろう…?
他の人の意見を聞きたい。
考えを聞くんだったら……
やっぱり、偉い人かな。
でも、皆はまだ広間で話をしているみたいだし、
後にしたほうがいいかも。
と、ちょうどその時
土方さんが廊下に出てきた。
千鶴:あっ、土方さん。
土方;お前か、どうかしたのか?
千鶴:その、一つ聞いてもいいですか?
土方:なんだ?
千鶴:……伊東さんたちの離隊について。
土方さんは、どう思っているんですか?
土方:どう、とはどういうことだ?
千鶴:新選組の仲間が、離れてしまうから…
それだけのことが私には、
ひどく不安に感じられる。
土方:たとえ今日まで仲間だったとしても、お互いの立場が変われば明日からは敵になる。
ただ、それだけの話だ。
土方さんは、鬼副長の名に違わない。
相変わらずの冷淡な口ぶりで言う。
千鶴:でも、斎藤さんや平助くんは…
新選組の幹部たちは仲が良いと思うし、
土方さんも彼らとは親しかったはずだ。
土方:斎藤や藤堂か…。
確かに、優秀な戦力を引き抜かれたことは痛手だがな。
だが、これから先のことを考えれば、今この時期に隊内の不満分子を切り離せたことのほうが大きい。
千鶴:……
どうして、土方さんは割り切れるんだろう?
不満を抱えていた伊東さんたちの離隊は、
新選組にとって良いことなのかもしれない。
でも…。
土方さんにとっての【良いこと】は、
新選組にとっての【良いこと】と
完全に一致しているのだろうか。
彼の気持ちが、よくわからない。
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作者名:つやか | 作成日時:2022年5月6日 11時