and you lie. ページ15
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Pは呆れていた。ここまで来て漁夫の利を決め込まずにわざわざ蹴落とすなんて、意味が分からない。この状況じゃ、自然に生贄は決まるだろうに。
そんなPを気にも留めず、ホナツは男の後ろに隠れて檻を見ている。
ホナツ「人が入ると自動的に内側に仕込まれた刃物が飛び出して、生贄を殺す、ってギミックになってるんですね……ほんと、物騒で怖いです……」
「大丈夫だ、嬢ちゃん。俺の後ろにいたら、嬢ちゃんは生贄にはなんねぇよ」
ホナツ「_本当に、お兄さんはかっこよくて素敵です。
……ねぇ、もうひとつ、私のわがままを聞いてくれますか?」
「お、なんだ?ドーンとこい!」
ホナツ「じゃあ……さようなら、お兄さん……いえ、“生贄”さん……♪」
そう小さく呟き、ホナツは男の背に体全体を使って突撃する。突撃と言っても、男の背中とホナツの距離はほとんどゼロ距離に近かった為、殺しによってつけられた筋力を持つホナツからすれば、少し押したレベルの話なのだが。
案の定、悲鳴を挙げる暇もなく、男は檻の中に入ってしまい、そのたくましい体は、何本もの鋭い剣によって串刺しとなってしまう。
ホナツ「ひっ、そ、そん、な……!!わた、しの、せいで……死んじゃった……の……?そうだ……私が、あの人に怖いだなんて、言わなければ……ぐずっ、うぅ……」
P「(……だと思ったよ。まぁ、後始末くらいはしてやらないと)
大丈夫、オリジナルは何も悪くないよ。だから泣かないで」
「そ、そうよ!貴方は悪くないわ!」
「勝手に死んだのはアイツだし……なぁ?」
ホナツ「うん……ありがとう、P……皆さん……」
蹲り、涙を流すホナツに駆け寄る。そして宥めるように背中を撫でる。その隙に、Pは自らのオリジナルの表情を確認する。手のひらで少し隠されたその表情は、とても爽やかとは言い難い、狂った笑顔だった。
P「……この嘘つき」
Pはぽつりと零す。そんなの気にしないと言わんばかりに、ホナツは、入口の扉とは逆方向にある扉を指さす。
ホナツ「ひぐっ……あ、あれ……もう、出られる……ん、ですか……?」
P「みたいだね」
ホナツ「やっと、出れる……良かったぁ……ぐすぐす……」
およそ10人の人々をくぐり抜け、怪しまれないうちに2人はその部屋を去った。
正直者は馬鹿を見る。and the big liar is_→←生贄に猫被り。
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イカノシヲカラ@深海に住む一般人/Skag?(プロフ) - クロロフィル@深緑の指揮者/あるりーすさん» まぁ闇に生きる人間なんで(急に厨二) (2022年10月22日 17時) (レス) @page7 id: 23a9d9ad0e (このIDを非表示/違反報告)
クロロフィル@深緑の指揮者/あるりーす(プロフ) - 皆いい感じに闇あっていいなぁ…それに比べてうちはねぇ…() (2022年10月22日 17時) (レス) id: e7bd3124a7 (このIDを非表示/違反報告)
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