165.照れ隠し ページ16
冬花side
木野「どれにしようかしら」
冬花「こんなにたくさんあると迷いますね」
音無「どれもかわいいです！」
私たちマネージャーの3人は喋りながらドレスを選んでいる。
その頃池長さんは、
A「……」ｽﾞｰﾝ
すっかり沈んでいた。
冬花「池長さんは選ばないんですか？」
椅子に座って下を向いていた池長さんがこっちを向く。
A「……いいんです。というか着たくないです」
音無「なんで着たくないんですか？」
A「……今まであまりかわいい服が似合った記憶がありません」
音無「絶対似合いますよ！」
A「嘘だ！」
音無「いや、嘘じゃないですよ！」
A「そしてもう１つ、これが一番着たくない理由」
池長さんはジャージ脱いでユニフォーム姿になる。
A「この体格で似合うと思いますか？」
池長さんは腕に力を入れ、この大会のために鍛えた成果を見せる。
音無「おお……」
冬花「すごいですね」
見事な力こぶ。
A「もうこれ女子じゃないですよ。男子ですよ」
木野「いやそこまでないと思うけど……」
音無「あ！もしかして……
可愛い格好をするのが恥ずかしいとか！」
A「っ！ いや、その……」
下を向いてもじもじし始める。
木野「(図星ね)」
冬花「(図星ですね)」
音無「大丈夫ですよ！私がばっちりコーディネートしてあげます！」
A「え、あの」
木野「私も手伝うわ！」
もうこうなったら2人は止まりません。
冬花「私も手伝います」
A「なんでそうなるんですか……」
音無「Aさんならきっと似合いますよ！」
A「……本当にそう思います？」
私たちはこくこくと頷く。
A「あ……そ、そうですか……」
そう言うと池長さんはまた下を向いた。
でも耳まで赤いからきっと照れ隠しなんだろうな。
A「本当に大丈夫ですか……？」
3人のチョイスで選ばれたドレスに着替えた池長さんは不安の表情だった。
木野「大丈夫ですよ！」
冬花「可愛いです……！」
A「う、嘘ですね！」
音無「この期に及んで何言ってるんですか！
似合ってますよ！」
A「そ、そうですかね……？」
木野「さぁ、行きましょ！」
私たちは扉を開け部屋の外へと進む。
ちなみに今日わかったことがあった。
冬花「(池長さんは押しに弱い)」
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作者名：アズサ | 作成日時：2016年1月2日 23時
