72.再生*4* ページ23
はるちゃんは少しずつではあるが、笑わなくなっていった。
風が吹いた時に私が見たのは太ももにある大きなあざ。
A「最近元気ねーな」
遥「そんなことないよ！」
A「そうかー？つーかそのあざどうした？」
遥「これは…家具にぶつけちゃって」
A「馬鹿か笑。つーか、どんなぶつけ方したらそんなでかいのできんだよ笑」
遥「本当なんだよー！」
A「信じるよ信じる笑」
こんな調子がしばらく続いた。
あざは出来ては消え、出来ては消えの繰り返しだった。
新年度を迎え、吹奏楽部の1大イベントである吹奏楽コンクール前日。
A「明日だねー」
遥「そうね」
A「ソロ頑張れよ」
遥「期待してくれてるの？」
A「んなわけねーだろ。とちんなよって意味」
なんでよーと言いながら寂しそうにするはるちゃん。
そういう顔をされるとつい優しくしたくなる。
A「はるちゃん」
遥「なに？」
A「…オーボエうまくなったね」
サラッと言ってみる。
遥「え…Aちゃんがそんなこと言うなんて珍しいね。もっと褒めてくれてもいいのよ？」
A「…もう１つあったけどいいや」
遥「ええ〜」
A「気が向いたら言うわ」
遥「…Aちゃん」
A「なんや」
少しためてはるちゃんは言った。
遥「…明日の試合、絶対に勝とうぜ！」
A「突然すぎるわ。つか音楽に勝ち負けなんかねーよ。そもそも点数つけちゃいけないし」
遥「わかってるけど、気合入れるのって大事じゃない？」
A「そーね…んじゃもっかい言って！」
遥「え、2回目は恥ずかs」
A「早く言え！」
遥「…明日の試合、絶対に勝とうぜ！」
A「おう！んじゃまた明日ー」
次の日
はるちゃんは現れなかった。
オーボエソロはオプションのフルートソロで本番となった。
はるちゃんがいないことを不安に思っているものもいたが、切り替えて演奏に望んだ。
結果はA組で金賞だった。
都大会には行けなかったが、まあ良い演奏だったとは思う。
そう思ったのもつかの間、顧問から恐ろしい事実が告げられる。
顧問「隠田だが…今朝、布団の上で亡くなっているのが見つかったそうだ」
ざわめく部員たち。
顧問「演奏前に動揺させてはいけないとあえて伏せていた。すまない」
そう言って頭を下げる顧問。
A「…はる…ちゃん…」
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作者名：アズサ | 作成日時：2015年2月3日 17時
