65.違和感の理由 ページ16
立向居side
in食堂
綱海「A今日は、はえーな！」
A「はい。別メニューがないので」
綱海さんと池長さんは相変わらず隣に座って話している。
俺の隣には鬼道さん。
真向かいには基山さんがいる。
話があると言われて今こういう状況である。
鬼道「で、話とはなんだ？」
基山「前に2人は池長さんを『空っぽな人』って言ってたね」
立向居「はい」
基山「その理由がわかったかもしれない」
鬼道「…なんだと？」
基山「池長さんから感じる違和感の正体それは…笑顔がないからだ」
立向居「…笑顔？」
基山「そうだ。
俺たちが今まで見たきた池長さんは、それなりに怒ったり、驚いたり少しではあるけど、色々な感情表現をしていた。
でもたった1つ確実に足りないものがある……それが笑顔だ」
やっぱり、感情が原因だったのか。
基山「今日たくさん話をする機会があって話をしたんだけど、言ってる内容と表情が噛み合ってない。
彼女が好きそうな話題を振っても、無表情で話すんだ。
だから違和感があるし、表情が少ないから縮まった感じがしない」
鬼道「なるほど…」
基山「決定的な理由は、前に綱海くんが池長さんを怒らせた時の発言」
立向居「確か…池長さんが合宿に来て初めてのご飯の時ですよね？」
綱海『…お前さ、もう少し表情に出したほうがいいぞ。もっと笑え！』
A『申し訳ありませんが、私は笑うことに関しては何もメリットがないと思っているので笑えません』
鬼道「そうか。『笑ってもメリットがない』=『笑わらいたくない』=『いつも笑わない』か」
基山「うん。おそらく彼女は、何らかの理由で自分から笑うことをセーブしてるんだ」
立向居「なるほど…」
鬼道「元々、そういうやつという線はないのか？」
基山「俺もそれは少し考えたんだけど、昨日の試合中の池長さんの状況を考えると、多分違うと思う」
立向居「俺も思います。試合中の方が違和感が少なくて、あれが本当の池長さんに1番近いんじゃないかと思います」
鬼道「…そうか」
立向居「…笑わない理由って一体何なんでしょうね」
基山「わからないけどゆっくり探していこう。無理矢理聞き出すのも良くないと思うし」
鬼道「要はタイミングだな」
基山「うん」
俺らがこうして話している間も、池長さんは無表情で話し続けていた。
こんな俺にできることはあるのかな…？
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作者名：アズサ | 作成日時：2015年2月3日 17時
