28.勝つために ページ29
ビックウェイブス戦前日
私はまた、別メニューをこなして、宿舎に帰ってきた。
メニューの内容が昨日の3周目からグレードアップしてて、死んでしまいそうだ。
ちなみに、川を飛び越える試練で今日は2回中2回とも川に落ちて、全身ビッショビショな上に川に流されたボールと久しぶりに追いかけっ子をした。
A「……ご飯食べよ」
食堂に行くと、話す機会が多いのにまだ優しい人認定されていない人がいた。
鬼道「お帰り。昨日よりは早いな」
A「何のようですか？」
私はラップされた夕食が置かれた席に座る。
鬼道「前にビックウェイブスについてみんなで話をしたんだが、その時池長はいなかったからその話をしに」
A「なるほど」
鬼道「…ビックウェイブスは海の男たちらしい」
へぇ……。
鬼道「海で心と体を鍛え抜いたチーム。特に守備が固く、相手の攻撃を完全に封じてしまう、未知の戦術があるそうだ」
A「未知の戦術…」
鬼道「これを攻略するためには、しっかりとチームで連携を取れないといけないと思うんだが
……監督は何を考えているんだ！」
鬼道さんはそういいながら机をバンッと一発叩く。
相変わらずやなぁ鬼道さん。
鬼道「そういえば、この話の時もいなかったな」
A「？」
鬼道「久遠監督は10年前、桜咲木中学校の監督をしていたらしい。
その年のFFで大量得点差で勝ち進んでいたそうだが、
決勝の前になって久遠監督が事件を起こしたことでチームは決勝を危険することになった。
噂では『呪われた監督』そう言われているらしい」
A「へぇ…そうなんですか」
鬼道「『へぇ…そうなんですか』じゃないだろ！もしかしたら、このチームも…」
A「少し考え過ぎじゃないですか？それは過去の話ですし、後ろばっかり振り返ってたら、前には進めないですよ」
鬼道「だが…」
A「多分、潰す気はないと思いますよ」
鬼道「え？」
A「昨日から私のメニューが変わりました。
それも、試合を意識したものに切り替わり始めています。
潰す気のある人がこんなことをするはずがありません」
鬼道「しかし……」
A「久遠監督と私たちの関係は指揮者と演奏者の関係と同じです。
演奏者が良い演奏をするために指揮者を信じるように、私は勝つために監督を信じます」
元の世界に帰るためにも…ね
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作者名：アズサ | 作成日時：2011年4月16日 19時
