第2話 光を渡って来た者は ページ4
あすか「ナビ、あのムーンロードの向こう側がどこの国かはわかる?」
ナビ「……すみません、わからないです」
ロイエ「トロイメアの執事をもってしてもか……しかし、繋がる先はわかっている。光栄にも我が記録の国に繋がっているらしい」
突如空に広がった月明かりに戸惑いを隠せない船上。やがてその光の中を歩んでくる一つの影が見えた。
?「見事だ」
ぽつりと呟かれたその言葉が、やけに響いて聞こえる。空の向こうからやってきたのは、白い正装を身にまとったひとりの男性。
ロイエさんが飛行船を地上に停めるようにと指示を出し、私たちはすぐさまムーンロードの終着点へと向かった。私たちの到着とほぼ同時にこの地に足を踏み入れたその男性は、私たちひとりひとりの目を見て、こう言った。
?「初めまして。僕の名はフレイグ。この光の向こうにある小国から参りました。国の名は『トルークビル』。僕は王子として、この世界に友好を求める」
***
時を同じくして、記録の国レコルド国内。
中心街にそびえ立つ時計塔の上に、人影があった。身長は女性にしては低く、その容貌はどこか猫のような鋭さを帯びている。吹き荒ぶ風が人影のフードを吹き飛ばすと、そこにはさらりとした銀色の髪の毛と赤く光る瞳があった。
彼「あれが、この世界の姫君……そしてあいつが、この世界の『特異点』か……」
呟きながらも徐々に鋭くなっていく彼の眼差し――しかしそれは思い出したようにふっと和らいだ。
彼「いけね、視線は人を引きつけるんだったな」
速やかに視線を彼らからそらし、彼は時計塔からしなやかに飛び降りた。常人なら骨折では済まない高さだろうに、着地していよう頃には彼の姿はどこにもなかった――
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作者名:津流律 | 作成日時:2019年2月13日 1時