検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:6,730 hit

フレディ この痛みすら愛しくて ページ7

「そんなっ……ああ!!」

泣き崩れるきみを、物陰から見ていた。
襲ったあいつに、恋人がいることは分かっていた。でもまさか、それがきみだなんて。

「返事をしてよ、…ねえ」

血溜まりに座り込んであいつを抱くきみは、不謹慎だけど酷く綺麗だ。真っ白なワンピースが裾のほうからじわじわと真っ赤に染まって、そのコントラストが美しかった。

涙に濡れた瞳が見つめる先に、どうして俺が居ないんだろうとぼんやり思った。

そんな男より、俺のほうがかっこいいでしょ?
きみがコッチに来てくれるなら、きみを最後まで守るのに。
上辺だけの約束しか出来ないそんな男と違って。

「待ってて、私も……すぐに、いくから」

銀のナイフを持ち出したきみはやっぱり綺麗だったけれど、その意味がわからないほど俺は馬鹿じゃなくて。
頭で理解した瞬間、身体中の血の気がザッと引いた。
すぐに物陰から飛び出して、手を伸ばす。

「待って…!!!」

「…愛してるわ」

「!」

俺に向けられたものじゃない愛の言葉に、どうしてか身体が固まった。

違う、そんなのが聞きたかったわけじゃない。

その動揺した一瞬の隙に、きみはもうこの世に居なかった。

「あ、」

2人の血液が混じる。それが嫌で、きみを抱き寄せて無残に眠る男から引き離した。

「馬鹿な子。後追いなんて……本当に馬鹿」

血と涙に濡れたきみの唇に、自分自身のそれを重ねた。
きみという存在にすがるように、強くかき抱く。

馬鹿なのはどっちだ、なんて、そんな声が聞こえた気がした。









賢狼フレディ×市民(恋人)

フランク あと少しの嘘だから→←エリック 失ったのは退屈な未来



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:sarry | 作成日時:2020年4月22日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。