フレディ この痛みすら愛しくて ページ7
「そんなっ……ああ!!」
泣き崩れるきみを、物陰から見ていた。
襲ったあいつに、恋人がいることは分かっていた。でもまさか、それがきみだなんて。
「返事をしてよ、…ねえ」
血溜まりに座り込んであいつを抱くきみは、不謹慎だけど酷く綺麗だ。真っ白なワンピースが裾のほうからじわじわと真っ赤に染まって、そのコントラストが美しかった。
涙に濡れた瞳が見つめる先に、どうして俺が居ないんだろうとぼんやり思った。
そんな男より、俺のほうがかっこいいでしょ?
きみがコッチに来てくれるなら、きみを最後まで守るのに。
上辺だけの約束しか出来ないそんな男と違って。
「待ってて、私も……すぐに、いくから」
銀のナイフを持ち出したきみはやっぱり綺麗だったけれど、その意味がわからないほど俺は馬鹿じゃなくて。
頭で理解した瞬間、身体中の血の気がザッと引いた。
すぐに物陰から飛び出して、手を伸ばす。
「待って…!!!」
「…愛してるわ」
「!」
俺に向けられたものじゃない愛の言葉に、どうしてか身体が固まった。
違う、そんなのが聞きたかったわけじゃない。
その動揺した一瞬の隙に、きみはもうこの世に居なかった。
「あ、」
2人の血液が混じる。それが嫌で、きみを抱き寄せて無残に眠る男から引き離した。
「馬鹿な子。後追いなんて……本当に馬鹿」
血と涙に濡れたきみの唇に、自分自身のそれを重ねた。
きみという存在にすがるように、強くかき抱く。
馬鹿なのはどっちだ、なんて、そんな声が聞こえた気がした。
賢狼フレディ×市民(恋人)
フランク あと少しの嘘だから→←エリック 失ったのは退屈な未来
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作者名:sarry | 作成日時:2020年4月22日 16時